CoCoやハイイールド市場には警戒が必要 HSBC運用会社のクレジット専門家に聞く
――年初来、金融資本市場の動揺が続いています。ご専門のクレジット市場の動向を中心に、今後の見通しをきかせてください。
ファンダメンタルズ(実体経済の状況)と市場の動向を分けて考える必要があると思う。マーケットは感情で動いている。しかし、ファンダメンタルズについては、一部悪いセクターがあるが、大半は安定している。
警戒すべきセクターはあるが割安な状況だ
私が思うに、現在のように動いている相場は逆に投資の機会がある。市場は今後1、2カ月ほど、ボラティリティが高まって、割安になる状況がみられると思う。中期的にみると、年末くらいまではよい投資タイミングではないかと思う。
――マーケットが落ち着くとすると、どんなカタリストが必要ですか。
非常に悪い経済ニュースが出たり、企業収益が悪くなったりしない限り、市場はいずれ安定していくのではないか。企業収益についてはマイルドな下方修正はあると思うが、壊滅的な内容にはならないと思う。
――今年に入って、なぜこれほど市場の動揺が続いているのでしょう。
いくつかの理由があると思う。まず、昨年暮れまで市場は過度に楽観的だった。FRB(米国連邦準備制度理事会)も、経済の見通しについて過度に強気の見通しを持っていたかもしれない。しかし、そうではないことがわかり、拙速な利上げが経済にダメージを与えるのではないかという不安が高まってきた。各国の通貨安競争も理由になっている。ただ、こうした懸念材料はあるが、今のマーケットはこれらの材料を気にしすぎている。
――社債市場でもスプレッド(利ざや)が拡大しています。
昨年末まで、スプレッドはタイト化(縮小)しすぎる状況が続いていた。市場はどちらか一方向に過度に振れがちだ。以前はポジティブに、今はネガティブに振れている。もちろん警戒すべきセクターや銘柄はあると思うが、全部がそうではなく、一部だ。
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