産油国バブル崩壊は通貨危機の連鎖に繋がる

アジア通貨危機を超える危機になる可能性

シェールに沸いていた米国ノースダコタ州のバッケン油田でも原油安で減産が進んでいる(ロイター/アフロ)
世界のマネーフローが逆回転を始めた。原油価格の暴落から、産油国・資源国バブルの崩壊も深刻度を増している。金属や石油・ガスのトレーディング、デリバティブ取引や上流投資などを通じて、長年、商品市況を中心に金融市場全般をウォッチしてきた住友商事グローバルリサーチの高井裕之社長に、産油国・資源国バブル崩壊の影響、リスクシナリオ、原油価格の見通しについて話してもらった。

世界は流動性の海に浮かんでいた

世界がリーマンショックへの対策として金融緩和、財政出動を行った結果、新たなバブルが生まれた。先進国のQE(量的金融緩和)マネー、オイルマネー、チャイナマネーといった大きな流動性という海の上にいろんな資産がぷかぷか浮いている状態だった。

しかし、2014年以降、FRB(米国連邦準備制度理事会)のQE(債券の大規模購入による資金供給策)縮小に始まって、QEマネーが引いていった。続いて、オイルマネーが引いていき、チャイナマネーが引いていった。そうして、水位が大幅に下がれば、資産価値が下がるのは当然だ。

なぜ、油の価格が下がっているのに、株価が下がるのか。従来の常識でいえば反対のことが起きている。油価が下がれば、燃料費が下がり、電気代やガス代も下がり、企業や家計にとってプラスで、本来は実体経済にはよいことのはずだ。2007~2008年に油価が1バレル=140ドルに上昇したときに、これは大変だと皆が騒いだ。今回は下がったのに、パニックになっている。なぜか。

供給側である産油国・資源国は価格の急落で大きく傷んだ。リーマンショック以降、産油国・資源国の人たちが、世界経済を牽引していた。彼らが世界中で株を買い、土地を買い、不動産を買って、さまざまなアセットに投資をし、運用資金を出していた。それが一斉に引き上げた。日本株の下落もソブリンウェルスファンドなどが売ったことが響いている。何兆円単位で世界から資金が引き上げられている。

そして、そうした産油国・資源国におカネを貸し込んでいた金融機関、取引をしていた企業が世界中にはたくさんあるはずで、そこも傷んできている。銀行のセクターには大きな影響が及んでいる。とくに欧州系の金融機関は深刻だろう。中東、ロシア、南米向けの取引が多いからだ。

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