CoCoやハイイールド市場には警戒が必要 HSBC運用会社のクレジット専門家に聞く

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――CoCo債の市場規模はどのくらいで、どんな投資家が買っているのでしょうか。

現在、1500億ドルほどの市場規模があり、金融機関が自己資本の規制を順守するためには、さらに1500億ドルの発行が必要になりそうだ。

CoCoはまず償還期限の決まっていない永久債の形式をとっており、債券インデックスに組み込まれない存在だ。いわゆる「オフベンチマーク投資」という取り扱いになっており、インデックスに入らないので投資判断が難しい。CoCo債が最初に発行されてから5年ほどになるが、最初の数年はほとんどプライベートバンカー(個人富裕層)が購入していた。機関投資家が買うようになったのは、ここ2、3年のことだ。

――CoCo債が焦げ付くと、影響は大きいのでしょうか。

非常に複雑かつ不透明な商品だけに、たとえばある一企業が発行しているCoCo債がデフォルトあるいは破綻すると、それが世界のCoCo債市場の暴落に広がってしまう危険性がある。

金融システム全体が危機に陥ることはない

――CoCo債と並んで、米国のハイイールド債の動向も警戒されています。

米国のハイイールド市場は、石油やガスなどコモディティ関連の発行体が多く、トレーディング(売買)にはストレスがかかるレベルになっている。そして、それが市場全体に広がりつつある。ハイイールド債全体に占めるオイルやガスセクターの割合は20%くらいなので、ここがリプライシング(価格を下方に修正)すると、市場全体への影響はかなり出てくると思う。

ハイイールド市場のもう一つの問題は、石油やガス、コモディティ関連のうち、投資適格の発行体も影響を受けてしまうということだ。これら発行体は中小企業がかなりたくさんあるが、これら企業が投資適格の格付を失い、ハイイールド(投資非適格)になることが起きている。大混乱とまではいかないが、スラッピーな(規律のない)状況に陥る危険がある。

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