CoCoやハイイールド市場には警戒が必要 HSBC運用会社のクレジット専門家に聞く

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――私たちには8年前の世界金融危機の記憶が残っています。こうしたハイイールド市場やCoCo債の混乱がかつてのサブプライム市場のように金融システム全体、経済全体に及ぶことをつい想像してしまいます。8年前の再来はあるのでしょうか。

ノー。その可能性はまったくないと思う。CoCo債にしても、ハイイールドにしても、以前の証券化商品の問題と比べると、巨人と子どもみたいなもの。規模が全然違う。

――とすると、仮に問題が起きても、封じ込め可能なのでしょうか。

そうだ。

――では、クレジット市場にリスク要因はないのですか。

中国経済が世界経済に影響を与える。この点は注視が必要だ。ただ、短期的にはそんなに大きな問題にはならないと思う。すでに中国の問題は商品関連に相当深く影響が及んでいて、最悪な状況だ。これ以上悪くなる余地はない。

もう一つ、中国が世界経済に影響を及ぼす経路として人民元があるが、この問題は当局もよくわかっている。大幅な元安にはならず、ゆっくりと元安に調整されていくと思う。

マイナス金利は「なんでもあり」のメッセージ

――日本銀行がマイナス金利政策を採用しました。その影響をどうみますか。

心理的に理解しにくいということで、障害はあるかもしれないが、実際に金融市場に与える影響はそれほど大きくないと思う。ゼロ金利とマイナス金利の違いは、マイナスが大幅でない限り、つまりある程度のマイナスにとどまっている限りは実質上の影響はないと思う。銀行(の経営や収益)は大変になっているが、もともとゼロ金利でも大変だった。

――欧州はマイナス金利政策を先行して採用しています。

欧州では大きな影響は出ていない。(欧州の銀行の)マージンは少し縮小しているが・・・。マイナス金利政策は、心理的なインパクトと、金融市場に実際に与えるインパクトとの間にまだ開きがある。マイナス金利政策の意味は、どちらかというと、どのくらい金利が下がったかというよりも、マイナス金利をやっているのだから、何でもありうるというメッセージ効果のほうが大きいと思う。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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