「焦げた肉は食うな」は、正しい教えだった! 発がん性は、調理法しだいで変わってくる

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最近の研究から、食肉を高温で調理したり、焦がしたりした際に、一部の成分が「発がん物質」に変化することがわかってきました。

これはアミノ酸、糖質、クレアチン(エネルギー源)などが化学変化したものと考えられていますが、食肉を高温で長時間調理したときにだけできる、不思議な物質です。現在までに17種類ほどが確認されており、まとめて「ヘテロサイクリックアミン」と呼ばれています。

まだ最終的な証明はなされてはいませんが、大腸がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、肺がん、胃がん、食道がんなどとの因果関係を示すデータも、すでに発表されています。

調理法によっても危険度が変わる

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考えてみれば、昔から「オコゲを食べるのは体に悪い」と言われてきましたが、焦がすことはもちろん、高温での調理にも注意が必要であるということですね。

ちなみに、調理法にもいろいろありますが、「煮る」「蒸す」「炒める」「揚げる」「焼く」という分け方をすれば、「煮る」と「蒸す」がいちばん安全と言えるでしょう。水で煮たり、蒸したりしている限り、100度以上の温度にはならないからです。一方、油で揚げると150〜220度に、また焼いた場合には200〜300度もの高温になる場合があるため、問題が出てきます。

ステーキを食べるときは、ミディアムくらいの焼き方に留めておくことです。バーベキューや焼き肉などで、真っ黒に焦げたお肉は、食べないほうがよいでしょう。

なお、ご飯や魚などの焦げについては、あまり研究が行われておらず正確な所はわかっていませんが、食肉ほどの危険性はなさそうです。

日本人の食事バランスは理想に近いと言われています。しかし欠点を挙げるとすれば、たんぱく質が不足しがちなことと、塩分量が多いことです。いつまでも丈夫で健康な体を維持していくには、魚料理を中心にしつつ、ときどきは肉料理も食べる。ただし薄味に……、という食生活が、年齢を問わず肝要になります。

焦げた肉には発がん性があるので、食べないほうがいい → ○

 

岡田 正彦 新潟大学名誉教授、医学博士

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おかだ まさひこ / Masahiko Okada

新潟大学名誉教授、医学博士。現・水野介護老人保健施設長。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業、1990年より同大学医学部教授。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」を受賞。専門は予防医療学、長寿科学。『人はなぜ太るのか-肥満を科学する』(岩波新書)など著書多数。

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