韓国が恐れる「チャイワン」で、台湾経済の浮上はなるか
このような中台経済交流が進めば、日本企業にも影響を与える可能性がある。台湾経済に詳しい、みずほ総合研究所の伊藤信悟・上席主任研究員は「(馬英九政権が繰り出す一連の措置で)台湾で日本企業が中国企業と競合する可能性、あるいは競争が激化する可能性もある」と予測する。
中国市場における日本企業の影響を、伊藤氏は3つのケースを想定する。まず、日台企業が競合しているケースでは、チャイワンの連携が進めば明らかに不利になる。これは韓国企業も同様だ。
次に、日中が競合している市場で、部品など資本材を台湾から入れているケース。仮に中国勢が台湾企業からの仕入れボリュームを高めた場合、部材調達で日本や韓国企業が苦戦を強いられる可能性もある。
実際に、ある中国の家電メーカーは韓国企業からの部品調達を減らし、台湾製品の購入額を一気に引き上げたという例もあるほどだ。日本企業にも、このようなケースが発生しないとは言い切れない。
3つ目に、シリコンウェハや半導体の一部、化学製品など日台間の「工程間分業」が確立している分野では、逆に日本からの輸出が増えることでプラスの影響を享受できることもある、と伊藤氏は見ている。
たとえばインゴットや半導体など高付加価値なものは日本国内で生産、それらを台湾で加工し中国へ運ぶビジネスモデルがしっかり構築されている例だ。この場合、中台間の結びつきが強まれば、自然と日本からの輸出も増えることになり、日本企業の業績向上にもつながる。
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