(第6回)ストレスに強くなる生活習慣・その4 運動してストレスに強くなる

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 これから運動するのなら、最初は軽めのメニューからはじめるのがポイントだ。私はジョギングをビジネスパーソンに勧めているが、初日はウェアを買ってくるだけでよいと言っている。おしゃれなもの、着ることが楽しくなるものを選ぶとよい。そして記録することを勧める。例えば決めたことができたら「○」をするというように。記録を残すとご褒美になるからだ。2日目はウェアを着るだけでOKだ。3日目はゆっくり100メートル走る。100メートルなら問題なく走れるだろう。これで記録に「○」をつける。4日目は200メートル、5日目は300メートル走る。ひとつひとつのハードルを小さくするのが長続きするコツだ。そうするとあまり苦痛を感じずに、ご褒美の「○」が増えていく。
 ○が20個になったら何か自分にご褒美をあげることにしてもよい。20個過ぎるころには2キロ位は走れているだろう。ゆっくりなら15分だ。ここまで来ると走ること自体の心地よさを次第に体感できるようになる。走ることで得られる爽快感がご褒美になっていく。

 運動習慣のある人とない人は生産性と仕事の能率や粘りに差がつくとする研究がある。仕事がもっとできるようになりたいなら、運動するのが手っ取り早い。「文武両道」というのは科学的にも言えるのだ。
 これから運動をはじめるなら次の点に注意してほしい。

・高血圧や心臓、肺等の持病のある場合や中高年期以降に久しぶりに運動をはじめるなら、かかりつけ医や相談できる医師に念のため確認をとること。
・運動をはじめる前、途中、後に十分な水分をとること。
・暑い時期に屋外で運動するなら帽子をかぶるなど熱中症に備えること。
・発熱のような体調の悪いときには無理をしないこと。
 加えて、深夜帰宅後に運動するのはどうかという質問がよくある。運動の効果が上がっても、脳が覚醒して睡眠が悪くなるデメリットがあることに注意してほしい。

 身体を動かす程度とメンタルヘルス不調との関係を示唆する研究がある。厚生労働省による国民栄養・健康調査からは30分以上の運動を週2回以上、1年間継続している割合は、男女とも3割程度に過ぎない。メタボだけでなくメンタルでも運動不足は由々しき状態なのである。
 生活習慣について、これまでお酒、睡眠と不眠への対処を紹介してきた。今回の運動習慣はストレス対処では攻めの対策といってよい。運動することはストレスと戦う自分を鍛えることになる。おっくうがらずに取り組むことを勧めたい。
 次回はストレスを感じる心のうちと対処の仕方を紹介しよう。
2009年3月26日発売
人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門
図でわかる、適切な対応ができる
亀田高志 著

詳細およびご購入はこちらから
亀田高志(かめだ・たかし)
(株)産業医大ソリューションズ 代表取締役社長/医師(HP: http://www.uoeh-s.com/
1991年3月産業医科大学医学部医学科卒業。日本鋼管病院勤務、NKK(現JFEスチール)産業医、日本アイ・ビー・エム(株)産業医、IBM Asia Pacificの産業保健プログラムマネージャーを経て2005年7月より産業医科大学産業医実務研修センター講師。2006年10月に産業医科大学による(株)産業医大ソリューションズ設立に伴い現職。企業のメンタルヘルス対策に関するコンサルティング、様々なメンタルヘルス研修会の講師に加えて、産業医科大学における企業向けメンタルヘルス対策支援事業を担当。
著書は『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門』(東洋経済新報社)。その他、日経ビジネスオンライン『事例で学ぶメンタルヘルスのツボ』、Work(リクルートワークス社)『健康経営のココロ』を共同執筆。
亀田 高志

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