(第6回)ストレスに強くなる生活習慣・その4 運動してストレスに強くなる

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●運動にはどのような効果があるのか

 運動するとこころもからだも変化する。こころが変化するのは運動が脳に影響を及ぼすからだ。久しぶりに長時間走った後は足に筋肉痛を感じるかもしれない。しかし、気分は実は爽快になる。
 一定のリズムに従った運動は、セロトニンという脳の働きをコントロールしている神経伝達物質を増やすという説がある。このセロトニンの不足がうつ病やパニック障害に関係しているとも言われている。
 ジョギングをすると走り始めてから30分過ぎると、苦しさから楽しさに感覚が変わる。「ランナーズハイ」といわれる状態である。麻薬のような働きをする、脳内のエンドルフィンという物質がその理由として考えられている。息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにはお腹をへこませる腹式呼吸を心がけると「ランナーズハイ」を早めに起こすことができるという研究者もいる。

 視点を変えて運動をした後のミクロレベルの身体の変化を考えてみよう。筋力トレーニングを行うと筋肉の繊維が壊れる。すると修復のために免疫を司るインターロイキン等の体内物質が分泌される。複雑なメカニズムによって、更に強い筋肉繊維が作られ、筋力がアップする。同時に心身の感じも変化する。このような体内物質はメンタル面でも活力をもたらす。
 運動すると睡眠が深くなる。例えば日曜日の朝や昼に運動すると夜の睡眠がよくなる。それによって月曜日には爽快な朝を迎えることができる。日曜日にごろごろして過ごすのとは大違いである。
 このように、脳や身体に影響をもたらす体内物質の変化は運動をした後にもしばらく続く。先に紹介した「運動した翌日は朝から気分がよくて元気がわいてくる」ということは事実なのである。

●どのように運動習慣を身につけるか

 運動をはじめて、継続するのはおっくうなものだ。しかし、やり遂げるコツはある。
 習慣を変える人間の心理を研究したジェイムス・プロチャスカによると、例えば運動を習慣にするには、次の5つのステージを経るという。
 1)6ヶ月以内に運動をはじめる意思がないという無関心な時期
 2)6ヶ月以内に運動をはじめる意思のある関心が出てきた時期
 3)1ヶ月以内に運動をはじめる準備をしている時期
 4)6ヶ月に満たないが、運動を実行しはじめた時期
 5)6ヶ月以上、運動習慣を維持している時期
 トントン拍子には行かず、進んだり、下がったりしながら、だんだんとステージが上がっていくものだ。
 大切なことは運動を習慣にするには挫折はつきものだと理解しておくことだ。挫折しても、気が向いたら、運動する。これを続けていれば、習慣化して、あまり意識せずに運動を続けられるようになる。

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