(第5回)ストレスに強くなる生活習慣・その3 眠れない時への対処編

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(第5回)ストレスに強くなる生活習慣・その3 眠れない時への対処編

亀田高志
 よく眠れるのは健康な証拠である。一方、不眠はビジネスパーソンによく見られる症状である。年をとると、眠れないという訴えは増える。よく眠れないまま仕事に出た場合、職場で高いパフォーマンスを一日中、発揮するのは難しい。連日になればなおさらである。また、不眠はメンタルヘルス不調のリスクでもある。
 眠れないと感じたとき、正しく対処することはビジネスパーソンとして大切なことだ。今回は眠れない時の対処法を紹介しよう。

●不眠のいろいろ

 眠れない状態には3種類ある。寝つきが悪い場合、途中でたびたび目が覚める場合、午前3時のように早すぎる時刻に目が覚めてそれ以降は眠れなくなる場合である。医学的には各々、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒と呼ぶ。一般には寝つきが悪いことを気にする向きが多いが、むしろ中途覚醒や早朝覚醒に注意したほうがよい。
 不眠と感じる原因も様々であるが、大きく分けて、眠る環境によるもの、生活習慣に基づくもの、身体の病気に関係するもの、そしてメンタルな病気に関係するものがある。

 環境によるものでは、騒音が大きいこと、部屋が明るすぎることが原因になる。生活習慣としてはカフェインを含むコーヒー等の飲みすぎ、飲酒、運動不足や喫煙等が一般的である。深夜までパソコンで仕事をしたり、インターネットをして脳が覚醒してしまい、入眠を悪くするケースも多い。
 身体の病気によって睡眠の質が低下することがある。皮膚の病気でかゆみが強いと睡眠に影響する。腰痛や胃腸などの痛みが強くても睡眠が妨げられる。夜間の尿意が強いことによって睡眠が中断することもある。

 不眠はメンタルな病気の症状のひとつでもある。以前は「ノイローゼ」といわれていた「神経症」や「不安障害」という診断を受けるビジネスパーソンがいる。そのような場合、眠れないこと自体が強い悩みとなって不眠を助長するケースがある。「うつ病」や「うつ状態」では中途覚醒や早朝覚醒を伴うことが多い。不眠があると将来、メンタル疾患を起こしやすいと考える専門家もいる。
そのほか、日頃、飲んでいる薬の影響で眠れないことがある。高血圧、結核、胃十二指腸潰瘍等への治療薬を服用していると不眠を起こす可能性がある。

●不眠への正しい対処

 もしも、眠れないと感じたり、目覚めたときに疲労が取れていないと感じたら、日常生活と仕事に影響が出ていないかを考えてみよう。昼間の眠気を感じず、仕事等への影響がなく、心身ともに元気だと感じられるようなら、あまり心配はない。

 眠れないことで仕事やプライベートへの影響があると感じるなら、まず、眠るときの環境や生活習慣を見直すのがよい。眠る時間帯の騒音の有無やカフェインの摂りすぎはないかを確認してみよう。
 案外、晩酌が続いているかもしれない。前回、説明したようにアルコールは入眠をよくしても睡眠の質は低下させる。何日かお酒を飲まないようにして、朝、疲労が取れたか、確認してみるのだ。眠れない場合にお酒に頼るのは最悪の対応だ。

 デスクワークだけの仕事なら、身体を動かす機会を作ろう。肉体的な疲労は睡眠を深くしてくれるだろう。ただし、深夜の運動は寝つきを悪くするので注意する。

 健康ならよく眠れるのである。眠れないと感じるだけならよいが、昼間の眠気が強く、仕事や日常生活に支障があるなら、まずこれらの対処を試みてみよう。

●不眠は医師に相談すべき問題

 まず、日頃飲んでいる薬があるなら、主治医に不眠を感じると相談するのがよい。
 不眠の専門医は精神科医である。以前よりもましにはなっているが、いまだに偏見が強いようだ。しかし最近は、特に都市部の精神科クリニックはきれいで雰囲気のよいところが増えているようである。待合や診察室でのプライバシーも保たれているので、受診を躊躇する必要はないだろう。受診すれば医師が不眠の原因や種類をよく問診で評価してくれるはずだ。身体の病気が疑われるなら、しかるべき専門の医療機関に紹介してくれるだろう。
 精神科の対象とする不眠、不安障害、うつ病やうつ状態等が疑われるなら、適切な治療を行い、経過を見てもらうことになる。治療は睡眠導入剤などの薬を服用する。近年は脳の科学的な分析が進み、不眠に対して有効で害の少ないよい薬が開発されている。効果を科学的に検証した根拠に基づく処方が標準的になってきている。

 不眠は一般によくある症状だ。仕事や日常生活に影響しているなら、早めに対処することにつきる。自分でできる確認と今回紹介した対処法を試みることだ。それでもよくならないなら、メンタルクリニック等の精神科医に相談するのが一番である。
 次回はストレス対処に有効な運動習慣を紹介し、それを身につける工夫を紹介しよう。
2009年3月26日発売
人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門
図でわかる、適切な対応ができる
亀田高志 著

詳細およびご購入はこちらから
亀田高志(かめだ・たかし)
(株)産業医大ソリューションズ 代表取締役社長/医師(HP: http://www.uoeh-s.com/
1991年3月産業医科大学医学部医学科卒業。日本鋼管病院勤務、NKK(現JFEスチール)産業医、日本アイ・ビー・エム(株)産業医、IBM Asia Pacificの産業保健プログラムマネージャーを経て2005年7月より産業医科大学産業医実務研修センター講師。2006年10月に産業医科大学による(株)産業医大ソリューションズ設立に伴い現職。企業のメンタルヘルス対策に関するコンサルティング、様々なメンタルヘルス研修会の講師に加えて、産業医科大学における企業向けメンタルヘルス対策支援事業を担当。
著書は『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門』(東洋経済新報社)。その他、日経ビジネスオンライン『事例で学ぶメンタルヘルスのツボ』、Work(リクルートワークス社)『健康経営のココロ』を共同執筆。
亀田 高志

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