「宮本か松井を監督にせよ」、野村克也氏激白 「人気者監督」「野球バカ」が球界をダメにする

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野村克也氏が、宮本慎也氏と松井秀喜氏を監督に推す理由とは?(写真右が宮本慎也氏。写真:日刊スポーツ/アフロ)
「今、野球界で起きている監督の人材難は深刻だ」と嘆くのは野球評論家の野村克也氏。野村氏は著書『名将の条件 監督受難時代に必要な資質』(SBクリエイティブ)の中でも触れているように、現役時代に人気や知名度の高かった人を監督に据えたものの、結果が振るわず、下位で低迷する球団も少なくないと指摘する。はたして人気者を監督にする今の流れのままで本当に大丈夫なのか。前回に引き続き野村氏に聞いた。
※前回記事:野村克也氏「今の40代監督はだから危ない」

各球団のオーナーが、監督を教育すべき

「長いことプロ野球の世界に携わっているけども、『人気』だけは実体がわからないし、どうにも説明できないんだ。『あの人は現役時代、人気があったから監督にしよう』と言って、そうして選ばれた人がこれまでどのくらい勝っていますか? ほとんどいないでしょう。

今、セ・リーグの6球団を見渡してくださいよ。ほとんどの監督が現役時代、人気があった人ばかりじゃないですか。野球の技術以外に人間教育のできる人など皆無でしょう。このままでは球界の未来は暗いし、心配しかありませんよ」

確かにプロ野球は興業ゆえ、人気のあるなしが大切な一面もある。しかし、お客さんを集めることばかり考え、肝心の選手の人間教育をおろそかにしてはいけないと、野村氏は警鐘を鳴らす。

「俗にいう野球バカを作ってはいけないんです。野球の技術はあるけども、一般常識や一社会人としてのマナーや礼儀を知らずに年齢を重ねてしまえば、引退した後に勘違いした人間になってしまう。昨年、巨人で起きた野球賭博問題や今年2月の清原和博の覚せい剤使用による逮捕事件などはその最たる例と言っていい。

巨人には正力松太郎氏が掲げた『巨人軍は紳士たれ』という言葉があるが、紳士が野球賭博や違法薬物に手を出したりするかね? 残念ながら正力さんが遺したこの言葉の真意を、問題を起こした彼らはまったく理解していなかったということでしょう。

裏を返せば、球界の盟主と言われ続けた巨人ですら、一社会人として必要な一般常識を監督が選手たちに教えていなかったともいえるはず。だからこそ選手を育成する前に、彼らを指導する立場にある監督を育成することが急務だと思うのです」

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