「宮本か松井を監督にせよ」、野村克也氏激白 「人気者監督」「野球バカ」が球界をダメにする

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プロ野球の将来を考えたら、選手以上に監督の育成は急務だ。そうした危機意識を球団のオーナーは持ち続け、自前で監督を育てるシステムを構築すべき。そうでなければ監督受難の時代はますます進んでいくというのが、野村氏の主張するところだ。

なぜ宮本氏と松井氏を監督に推すのか

それでは今の若い世代で期待したい監督候補はと野村氏に聞くと、元ヤクルトの宮本慎也氏と巨人、メジャーなどで活躍した松井秀喜氏の名前を挙げた。

「入団当初の宮本は打撃はまったく使い物にならなかった。だが、守備が一級品で、『バントと右打ちの技術を磨きなさい』と指導したら、職人技の域に達するほどの選手になった。40歳を過ぎてから2000本安打を打った苦労人でもあるし、何よりチーム内で嫌われ役になることだっていとわない。若手からしたら煙たい存在に映るかもしれないが、そうした人間こそリーダーになるべきなのです」

そして松井氏には、メジャーでの経験を日本の野球に生かしてほしいと期待する。

「松井は名門・ニューヨーク・ヤンキースの4番を任されたほどの男。私は外野手出身の選手は監督に向いていないと話してきましたが、彼は別格です。日本人選手の誰もがあこがれるヤンキースの4番、そしてワールドシリーズのMVPという栄光を、メジャーで手に入れることができた一方で、晩年はケガで苦しみ、思うような活躍ができずにチームを転々とする経験もした。これは大きな財産ですよね。

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そのうえ普段の立居振る舞いはジェントルマンで、ニューヨークのファンからもいまだに好かれているというから、人間性だって申し分ないでしょう。

ただ、彼はこれまでにCMなどの本業の野球以外でもお金をバンバン稼いでいるせいか、監督という職に欲がないのが残念だけどね(笑)。今年の春季キャンプでの巨人での指導ぶりを見るにつけ、どうして昨年、原が退任したときに巨人の監督を引き受けなかったのか不思議で仕方がない。

巨人以外の球団の選手だって、松井が経験したこと、メジャーで数多く見てきた名選手の話を真剣に聞きたいと思っているだろうし、できることならウチに来てもらいたいと考えている球団関係者だって大勢いるでしょう。

彼には人を惹きつける存在感やオーラがある。それは単に野球の技術があるということだけでなく、人間的な魅力も兼ね備えているとも言い換えられる。アメリカのいいところを日本に伝承すれば、今までにないタイプの指導者像だって生まれるかもしれない。

閉塞感に満ちた日本の野球界の現状に、風穴を開けてほしいし、近い将来、『松井監督』が誕生することを、私は期待したいですね」

小山 宣宏 スポーツジャーナリスト

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こやま のぶひろ

出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年はプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『野村の「監督ミーティング」』(橋上秀樹/日本文芸社)などの書籍を手掛ける。現在は楽天の松井稼頭央選手の書籍(ベースボール・マガジン社より今春刊行予定)を制作中。
 

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