私のサービス論 「給湯器の近くの植木が枯れていたら、お手入れをアドバイスする」

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私のサービス論 「給湯器の近くの植木が枯れていたら、お手入れをアドバイスする」

サービスがサービス産業の専売特許であったのははるか昔の話。今やサービスは、あらゆる産業にとって最優先課題になっている。日本の名だたる企業のトップたちは、「サービス」をどう定義し、具体的にどのようなサービスを実践しているのか?各社のトップに聞いた。
(『週刊東洋経済8月11日・18日合併号の特別版』)

Q.御社にとって、「サービス」とは何ですか?

 サービスとは、エネルギーの安定供給を実現する「ガスバリューチェーン」の形成ならびに「安心・安全」の訴求を前提としてお客さまから選ばれ続けるために、「お客さまの声」「現場の声」「社員の声」「協力企業の声」に傾聴し、それらの声から把握した「お客さまの期待」にお応えする商品の提供と接客応対のことです。

 なお、目標とするサービスは、「お客さまの期待」に応えるではなく、お客さまとのコミュニケーションを通じて「お客さまの期待」を上回るプラスワンの商品の提供・接客応対であると認識しています。

Q.御社のサービスの具体例を教えてください。

 主に以下のようなサービスを行っています。

・3年に一度の法定ガス設備安全点検でお客さま宅を訪問する際、点検日をあらかじめ事前予告チラシでお知らせしていましたが、1週間前の予告だけだと忘れてしまうとのお客さまの声に応え、全件事前電話による訪問時刻・作業内容のお知らせを開始しています。

・ガス設備安全点検時には「専門用語を使わない」「実物を見せて説明する」ことを徹底している。

・ガス設備安全点検でお客さま宅を訪問する際、「何か1つ心に残るものを」との意識を持ち、プラスワンサービスを実施している。例えば、給湯器の近くの植木が枯れているのを見つけたら、お手入れをすることをアドバイスするなど、お客さまが普段気付かないことをアドバイスするようにしている。

・お客さまの声から、女性の開栓担当者のニーズを感じ、女性作業員を採用。お客さまからは「女性でよかった。安心した」との声が多数寄せられている。
 
・機器修理後には必ずお客さまご自身に器具の操作をしていただき、不具合が解消したことをご確認いただくと共に、ご存じなかった使用方法などの情報提供もしている。

 Q.サービスを定着・向上させるために、どのような取り組みを行っていますか?

 まず、サービス導入の効果を把握する手法としては、お客さま満足度調査(サービスを受けた方をサンプリングし郵送調査)を実施しています。ほかにも、サービス提供後に「お客さまの声ハガキ」をお客さまにお渡しし、ご意見を聞く方法をとっています。

 次に、従業員教育としては、サービス品質の維持のため、各サービス提供者には、資格制度を導入し、定期的に資格更新を行うことに加え、どの業務にも共通するビジネスマナーに関する教育ツールを作成し、各現場拠点にて勉強会を実施しています。

 評価に関しては、社長を委員長とする「お客さま満足度向上委員会」を行っていますが、その中でCS向上に顕著な功績をあげた現場拠点に「お客さま満足度向上委員会」委員長賞・特別賞として表彰する制度(※)を設け、評価を行っています(※個々人がお客さまの期待・変質に自ら気付き自ら行動できるマインドが醸成され、拠点全体でCS向上の仕組みを展開していること、活動の結果としてお客さまからの評価が高いこと、拠点業績への貢献度の大きさを審査基準としています)。

 最後に、システム面では、各種接点機会のプロセスを共有化できるシステムの導入(一部拠点に既に導入)を進めています。このシステム化によって、接点履歴の見える化が進み、接点プレーヤーが変わっても、お客さまとの応対履歴が把握できていることから効率的・効果的な接客応対(リレーションサービス)を実現できます。         

鳥原光憲(とりはら・みつのり)
1943年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、東京ガス入社。2006年より現職。

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