それを象徴しているのが、朴大統領が就任以来日本との関係を論じる際に必ず最初に言及していた歴史問題、なかんずく慰安婦問題について昨年12月、日本政府と合意したことだ。それ以来、韓国は日本に協力的な姿勢になってきた。変化したのはもっぱら韓国政府というわけではなく、この合意は日本政府も努力した結果であるが、慰安婦問題について韓国政府は、合意前まで日本政府を批判する側に立っていたが、合意後は、日本政府とともに解決を目指して努力するようになった。この変化は大きい。
韓国の外交方針が転換した理由を探ることはもちろん重要だ。朴大統領が金第1書記の政治姿勢を深刻に考え、国際社会が対応を強化しなければならないと考えたのだろうし、韓国経済の立て直しにとって日本との関係改善が必要と判断したのだろう。
それとともに、韓国の外交姿勢の転換の特徴を知ることも重要だ。政権の交代により新しい外交政策が打ち出されるのはどの国でも見られることだが、韓国ではそれだけでなく、同じ政権の下で外交姿勢が大きく変化することがある。李前政権も、盧武鉉前前政権も後半に外交姿勢は大きく変化した。
官僚機構の力が逆に弱い韓国
それが可能なのは、韓国の大統領制の特色として大統領の指導性が強いからで、逆に官僚機構の力が弱いからだと思う。両者はコインの両面のようにお互いに関連しているのかも知れない。しかも、朴大統領の場合は原理原則に忠実な性格であり、外交においても個人の判断がいっそう強く表れるのではないか。
韓国と、日本、米国、中国とは政治・経済両面で密接な関係がある。さまざまな原因で国家間の関係が影響を受ける場合に各国政府が正しく対処しなければならないのは当然だが、それぞれの国には対応の仕方に特徴がある。日本には日本の、韓国には韓国の特徴があり、それをお互いによく理解しておくことが必要だ。
ともあれ、朴大統領の外交姿勢が、最初は日本に厳しかったが政権の後半には好転しつつあることは大いに歓迎していい。日本政府にとっては、韓国との友好関係をいっそう深め、東アジアの安全保障を強化する好機といえるだろう。
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