また韓国は、日本の自衛隊と韓国軍の間でかねてから懸案であったが中断されていた、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結の検討を再開するとの考えも表明した。
米韓両軍の協力もレベルアップした。米軍の長距離爆撃機B52やステルス戦闘機(レーダーで捕捉しにくい)F22が休戦ライン付近へ飛行し、両軍は潜水艦の合同演習を実施した。3月から始まる定例の米韓合同軍事演習は、今年は「最先端、最大規模で行う」と韓国軍は表明している。
韓国が日米に協力的になってきたのと裏腹に、中国との摩擦を以前ほど恐れなくなってきた。前述の安保理決議に関する中国への注文も、「THAAD」の韓国配備についての協議も中国側が嫌がることは当然わかっていたはずだ。
行き過ぎの是正も
親米・親日への顕著な変化が見られる一方、行き過ぎの是正も起こっている。「THAAD」の配備交渉については、後に米韓双方から、協議の開始はまだ正式に決定されていないという釈明が行われた。
後になって中国を過度に刺激したくないと韓米両政府が考えたからだろう。そもそも韓国の首都ソウルは北朝鮮のミサイル発射基地から近すぎるので、弾道ミサイルを迎撃する「THAAD」が必要かどうか疑問だ。中国の強い反発には一理ある。
外交の持つそのような複雑性は考慮しておく必要があるが、韓国の姿勢が比較的短い期間に大きく変化したのは事実だと思う。
朴大統領は政権発足後中国との友好関係増進に力を入れ、李明博前政権時代に悪化していた日本との関係を冷え切ったまま放置していた。むしろさらに悪化した面もあった。第三国においても朴大統領は日本の姿勢に批判的なことを口にしたことがある。
日韓どちらにそうさせる原因があったか。本稿ではあえてその議論に立ち入らないが、ともかく、それが朴政権の初期の姿勢であり、基本的には昨年9月、中国が対日戦勝70年を記念して一大軍事パレードを催したのに同大統領が参列するまではそうだった。
しかし、その後、韓国外交の対日方針は大きく変化した。
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