世界の不動産市場は崩壊につながるのか

米FRB(連邦準備制度理事会)がまとめた1月の米銀の融資責任者調査によれば、「過去3カ月間で商業用不動産に対する融資基準を厳しくした」と回答した銀行は、前回(昨年10月)の50%から80%へ急上昇している。サブプライム問題で巨額損失を抱え、資本不足に陥った欧米金融機関は融資を急激に縮小させている。

昨夏まで、世界の不動産市場を牽引してきたのは、多額の資金を借り入れて不動産投資を行う「高レバレッジ投資家」たちだった。総投資額に占める負債の割合であるLTVは、日本の場合、07年春ごろまで80%が平均水準。自己資金の4倍の借り入れを行い、物件を買うことが常態化していた。しかし昨夏以降、これが70%以下に低下。自己資金の2倍程度しか借りられなくなった。「今後も欧米を中心に資金調達が困難になるだろう」(平林昇・DTZシニアマネジャー)。日本はともかく融資姿勢を硬化させている欧米の不動産市場は、当分、下落局面が続くとみられる。

新興国でも住宅価格の調整が入っている。中国の国家発展改革委員会による2月の住宅販売価格は、全国平均では前年同月比10・9%増と上昇したが、深aで前月比マイナス0・9%、広州で前月比マイナス0・1%に。両都市とも昨年12月から3カ月連続の前月割れだ。中国では2軒目の住宅を購入する個人への住宅ローン金利を引き上げるなど、住宅価格抑制策を採っており、それが効き始めている。

日本も例外ではない。不動産サービス大手ジョーンズ・ラング・ラサールの調べでは、東京のAグレードオフィスの賃料上昇率は、07年4~6月期6・2%、7~9月期4・1%、10~12月期1・5%と上昇幅が縮小。同社の赤城威志ローカルディレクターは、「08年の賃料上昇率は大幅に鈍化するだろう」と予測する。

Aグレードオフィスの新規供給は、07年の約54万平方メートルから08年約15万平方メートル、09年約22万平方メートルへ縮小し、需給をタイトにする。しかし、外資系金融機関がサブプライム問題で、国内輸出関連企業が円高で、それぞれオフィス需要を弱めており、今後、需給が緩和しかねない。そうなると、賃料は上昇率鈍化では済まされず、下落の局面を迎える。

(週刊東洋経済)

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