手痛い大人の失恋は、こうして「過去」になる 二股交際、震災離別を乗り超えた「晩婚さん」

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新婚生活は理想的なものだった。ほぼ毎日の晩酌と週末のドライブを2人で存分に楽しんだ。そして、子どもにも恵まれた。

専業主婦生活は、楽ではない

出産を機に派遣での仕事を辞めて、専業主婦として子育てと家事に専念している和美さん。しかし、あんなに仲の良かった雅之さんとの間にかすかな不協和音が流れ始めているようだ。

「ダンナは出張が多い仕事だし、夜の帰りも遅いです。休日は私が頼めば子どもの世話をしてくれます。でも、自分から積極的に家事に参加する気遣いがありません。子どもともどうやって遊んだらいいのかわからないようです。私ばかりが息子に厳しくしています。こないだも出張の準備をのんびりしながらiTunesで音楽を聴いている夫に怒りをぶつけてしまいました」

弱々しく言い返すだけという雅之さん。夫婦喧嘩になると、2歳の息子が雅之さんを「トン(お父さん)、ダメ!」と叱りつける。完全に和美さんの味方らしい。責められる一方では、雅之さんは家庭でくつろげなくなってしまうかもしれない。

雅之さんは現在44歳。会社での責任はますます重くなり、ストレス発散の場も欲しくなる年齢だろう。一方で子どもは小さく、妻にも余裕がない。年老いた両親はもはや頼れる存在ではない。自分の体力も落ちてくる。仕事と趣味と家庭のすべてを100%追求することは不可能である。かといって、どれも失いたくはない。創意工夫が必要となる。今度は雅之さんと語り合いたくなった。
 

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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