新婚生活は理想的なものだった。ほぼ毎日の晩酌と週末のドライブを2人で存分に楽しんだ。そして、子どもにも恵まれた。
専業主婦生活は、楽ではない
出産を機に派遣での仕事を辞めて、専業主婦として子育てと家事に専念している和美さん。しかし、あんなに仲の良かった雅之さんとの間にかすかな不協和音が流れ始めているようだ。
「ダンナは出張が多い仕事だし、夜の帰りも遅いです。休日は私が頼めば子どもの世話をしてくれます。でも、自分から積極的に家事に参加する気遣いがありません。子どもともどうやって遊んだらいいのかわからないようです。私ばかりが息子に厳しくしています。こないだも出張の準備をのんびりしながらiTunesで音楽を聴いている夫に怒りをぶつけてしまいました」
弱々しく言い返すだけという雅之さん。夫婦喧嘩になると、2歳の息子が雅之さんを「トン(お父さん)、ダメ!」と叱りつける。完全に和美さんの味方らしい。責められる一方では、雅之さんは家庭でくつろげなくなってしまうかもしれない。
雅之さんは現在44歳。会社での責任はますます重くなり、ストレス発散の場も欲しくなる年齢だろう。一方で子どもは小さく、妻にも余裕がない。年老いた両親はもはや頼れる存在ではない。自分の体力も落ちてくる。仕事と趣味と家庭のすべてを100%追求することは不可能である。かといって、どれも失いたくはない。創意工夫が必要となる。今度は雅之さんと語り合いたくなった。
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