原油安で「得をする国」「損をする国」はどこか

産油国の独裁者たちにドミノ倒しが迫る

米ノースダコタ州のシェールガス採掘場(写真: ロイター/Andrew Cullen)

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原油相場は下げ止まる気配がない。2016年に入ってからの原油価格は、14年半ばの急落時と似たような下降局面に入っている。14年前半に1バレル=100ドル台だったWTI先物価格は、1月半ばには30ドル以下にまで下落した。

原油1バレルの価格が7割下落すると、年間3兆ドルという資金が産油国から石油の消費者に移るとされる。当然これほどの価格下落となれば、大きな痛手を被る国が出る一方、富を得る国も出る。

おそらく最も痛手を被っているのは、アゼルバイジャンなど中央アジアの国々だろう。国際通貨基金(IMF)の職員は今、アテネではなくアゼルバイジャンの首都バクーに向かっているはずだ。これら旧ソ連の産油国はロシアとの貿易に依存し、そのロシア経済が原油安に直撃されているからだ。

逆に原油安の恩恵を受けているのが、輸入国であるギリシャやイタリア、スペイン、ドイツといったユーロ圏諸国だろう。これらの国々では、輸出先である新興国の景気減速が経済の足かせになっているが、原油安に伴うエネルギー費用の縮小が成長を下支えしている。

米英への影響はどっちつかず

一方、影響がプラスかマイナスか一概に言い切れないのが、米国や英国といったエネルギーの産出国でもあり、輸入国でもある国々だ。これらの国々では13 年から14年初にかけ、好況に沸いたエネルギー企業が投資を独占していた。しかし、その後の原油安に伴い、エネルギー企業の収益は苦戦が続いている。

ただし米英とも、消費者支出は増加している。米国では消費者がガソリン価格下落で得た収入増の大部分を貯蓄しているが、一部については消費に回している。原油安がこれらの国々の個人消費を底支えしているのだ。

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