原文はこちら
国際社会がいまだにシリア内戦を終結に導けないのは残念だ。同国ではマスタードガスや塩素爆弾といった化学兵器が民間人に対して使用されているとの報告が、依然として後を絶たない。
ここが正念場だ。これらの攻撃をしかけた者を特定し、法によって裁かねばならない。化学兵器の使用に何の罰も下されなければ、毒ガスや神経ガスがテロに使われる可能性が高まってしまう。
シリアでは着々と成果
実はシリアの化学兵器については、国際社会の取り組みが着々と成果を生んできた。きっかけは2013年夏だった。シリアの首都ダマスカス近郊で、猛毒のサリンガスを搭載した政府軍による複数のロケットが、反政府派が支配するグータ地区を急襲。当時、女性や子供を含む1000人以上の民間人が死亡したのだ。その悲惨な映像に多くの人が心を痛め、国際社会による化学兵器撤廃の機運が高まった。
圧力を受けたシリアは同年10月、化学兵器禁止条約に加盟。2014年春には、化学兵器禁止機関(OPCW)調査団がシリア北部の複数の村で、塩素ガスとみられる有害物質が武器として使用されたことを示す証拠を得た。そして15年夏、国際連合はOPCWと合同調査チームを結成。シリアにおける化学兵器および生産施設の全廃が、その合同チームに託されたのだ。
まだ確認作業は続いているものの、合同チームによりマスタードガスや猛毒神経ガスなどの有害物質を含む化学兵器約1300トンが、すでに取り除かれたとされる。国家間紛争で有毒ガスや神経ガスが使用されるおそれはほぼなくなった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら