シリアに派遣されている調査官は重要な任務に不可欠な専門知識を活用している。政治的指導者にとっては、調査官が中立で信頼に足ると明言するとともに、彼らが妨害されず任務に当たれるようにし、彼らが出した結論にみだりに口を挟まないことが極めて重要だ。戦争の混乱によって責任があいまいにされることは、あってはならないのだ。
化学兵器の脅威自体はいまだに収まっていない。イスラム国(IS)のような非国家の過激派が使用するおそれが高まっているからだ。
神経ガスの生産は技術的に容易ではないが、仮にISが塩素ガスなどの有害物質をすでに保有していれば、使用される可能性は十分ある。壊滅的なリスクとなり得る化学施設への攻撃についても、潤沢な資金を有するテロ集団であれば決して実行不可能ではない。
真価問われるのはこれから
1997年に化学兵器禁止条約が発効してから20年弱が経った。同条約には192もの国々が参加し、申告済みの化学兵器の約9割を廃棄した。これは人類史上最も成果を挙げた軍縮の取り組みの一つだ。
しかし、化学兵器撤廃に向けた取り組みが真価を問われるのは、まさにこれからだ。シリア内戦で使用され続ける化学兵器は、同国の民間人に苦しみを与えているだけではない。化学兵器禁止条約の信頼性を損ねる危険もはらんでいる。化学兵器を用いた者を、国際社会は決して見過ごしてはならない。誰であろうと法によって責任を追及し、裁かなければならない。
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