ロシアのプーチン大統領によるシリア紛争介入は、ロシア政府が「孤立無援状態から脱する」機会として、一部で歓迎されてきた。ロシアがイスラム国と対立したことで、その利害が西側と合致したとの楽観的な見方は、トルコによるロシア軍機撃墜を経ても、後退していないようだ。
実際、最近の記者会見で、オバマ米大統領は再度、対イスラム国連合に参加するよう、プーチン大統領に促した。フランスのオランド大統領も、最近のモスクワ訪問は、テロリストグループに対する広範な国際的な連合を構築する努力なのだとアピールした。
一見したところ、ロシアがイスラム教徒のテロリストに対する同盟を組むのは自然なように思える。同国はイスラム過激派による恐ろしいテロ攻撃に遭っているからだ。11月にはシナイ半島上空で旅客機が撃墜され、乗客乗員合わせて224人が殺害され、そのほとんどがロシア人だった。
シリア介入目的はあくまでアサド支援
しかし、反テロでロシアと同盟できるとの考えは希望的観測でしかないことが、さらなる考察で明らかになってきた。プーチンがシリアに介入したのはイスラム国打倒ではなく、ロシアのクライアントであるアサド大統領の政権を救うために過ぎなかった。プーチンは時にアサドを見捨てる用意があるふりをするかもしれなが、結局は彼を擁護するだろう。
普通のロシア人はイスラム過激派による攻撃の危険にさらされているかもしれないが、彼らはプーチンや彼の同盟国にとって、ほとんど脅威にはならない。実際、学童を中心に334人が殺害された2004年のベスラン学校占拠事件を含め、ロシアは多くのテロ攻撃を被ってきた。ほぼすべてのケースで、テロ攻撃への対応は冷酷かつ不適切で、犠牲の大きいものだった。
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