三菱自動車が電気自動車一番乗り、普及の道筋は霧の中

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ジレンマから抜け出す方策の一つは、EVのバラエティ化を図ること。商用車のEV化を検討する一方、「(10年以降に投入するコンパクトカー)『グローバル・スモール』はガソリン車で出すが、間を置かずに、EVバージョンも出したい」(益子社長)。

が、同時多発の開発遂行にはカネがかさむ。自動車大不況の中、三菱自動車は同業他社に比べても在庫調整が遅れ、09年度上期は400億円の経常赤字となる。3月末の手持ち現預金は1年前から1900億円も減少した。そもそも、三菱自動車がハイブリッドを“捨て”、EVに的を絞ったのは、リソースの乏しさを自覚したゆえだった。

益子社長は「今後、いろんなパートナーとも話し合いをすることになろう」と言う。EVは自動車再編の引き金にもなりそうな気配である。

■業績・事業概要など企業データの詳細はこちら

 

(撮影:吉野純治)

梅沢 正邦 経済ジャーナリスト

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うめざわ まさくに / Masakuni Umezawa

1949年生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社に入社し、編集局記者として流通業、プラント・造船・航空機、通信・エレクトロニクス、商社などを担当。『金融ビジネス』編集長、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2001年論説委員長。2009年退社し現在に至る。著書に『カリスマたちは上機嫌――日本を変える13人の起業家』(東洋経済新報社、2001年)、『失敗するから人生だ。』(東洋経済新報社、2013年)。

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