三菱自動車が電気自動車一番乗り、普及の道筋は霧の中
選ばれた発表日は、6月5日、世界環境デーだ。世界初、量産型の電気自動車「アイ・ミーブ」を横に、益子修社長が胸を張った。「三菱自動車はEV(電気自動車)で先駆け、次の100年の扉を開く役割を担いたい」。アイ・ミーブは7月下旬、国内市場に投入される。
トヨタ「プリウス」、ホンダ「インサイト」などハイブリッド車がガソリンエンジンとモーターを併用するのに対し、EVのアイ・ミーブは100%電気で走る。走行中のCO2排出量はゼロ。軽自動車「アイ」をベースにした“軽さ”もあり、1回の充電(家庭電源でも充電できる)で160キロメートルの走行が可能。深夜電力なら、燃料代はガソリン車の9分の1になる。
三菱自動車、三菱商事とともにリチウムエナジージャパンを設立し、アイ・ミーブ用のリチウムイオン電池を生産するGSユアサの依田誠社長がエールを送った。「EVはゴルフカートに毛の生えたものと思われがちだが、まったく別の乗り物。車を操る喜びを感じさせてくれる」。
普及へ幾多のハードル
問題は「量」である。インサイトの受注は早くも3・5万台突破したが、 アイ・ミーブは初年度1400台。官公庁など法人中心に初年度分は一応“予約完売”したものの、個人向けに売り出す2010年度も、想定はやっと5000台。損益分岐点の3万台には、はるかに届かない。
最大の壁は、価格と量のジレンマだ。希望価格は459万9000円。政府補助金が受けられるから、顧客の実質支出は320万円となるが、「軽」がベースだけに割高感はぬぐいようがない。「一般の方に手の届くレベルとは考えていない。量産化で、できるだけ早く200万円を切りたい」(益子社長)。が、量を出すためには、まず、価格が下がらねばならない--。
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