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現在のポーランドは、欧州におけるリベラルと反リベラルという民主主義の2つのモデルが衝突する最前線となっている。
2015年秋の選挙における極右政党「法と正義」の圧勝は、ポーランドにとって政治体制の大きな転換だった。新政権は憲法裁判所を自党の支持者で満たすなど、強権的な政治手法を取り始めている。
こうした反リベラルの台頭に対し、欧州委員会は欧州連合(EU)の法規範を犯していないか調査を始めた。経済分野にも影響は広がっており、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズは、ポーランドの外貨建て債券の格付けをAマイナスからBBBプラスへと引き下げた。同国の株価は低迷し、通貨ズロチの価値は下落している。
中東欧には反リベラルの土壌
ポーランドはEU内で反リベラルを擁護している最大の国だが、ハンガリーやスロバキアなど、同じく反リベラルに傾く国も出ている。
これら旧共産主義国である中東欧諸国から、民主主義的な規範を軽視する動きが生じているのはなぜか。それは歴史的な経緯から、開放的な社会を目指すか、閉鎖的な社会を目指すかといった二元論で議論されやすい土壌があるからだ。
中東欧諸国は2000年代前半以降、EUに加盟していった。当初、旧来の加盟国との溝は深かったが、まずポーランドが中道右派政権下で政治、経済面での改革を断行。経済協力開発機構(OECD)加盟国で最大の経済成長を見せるなど模範生として台頭し、ほかの諸国も続いた。
しかし経済面でキャッチアップを果たしても、政治面では伝統的に左派・右派に分かれた西欧のような体制にすぐには追いつけない。その結果、中東欧諸国では急な改革の反動もあり、開放か閉鎖かといった二元論で国論が分かれる状況ができ上がってしまったのだ。
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