速報!難関中学に合格者を多く出した有力塾 サピックス一人勝ちの理由とは?

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ただし、頭の回転の遅い子にはやはりつらい。授業の途中でわからなくなったらあとはわけもわからず怒濤の中を彷徨う羽目になる。やはり学力上位層向けのシステムと言える。

知識の詰め込みでは難関校には受からない

ここで中学受験に関するよくある誤解を解いておきたい。中学受験をよく知らない人たちの間には、「中学受験勉強は無味乾燥な知識の詰め込みであって、そんなことをしても何の意味もない」という思い込みがあるらしい。しかしそれは違う。

自分が私立中学校の校長であると想像してみてほしい。機械的に知識ばかりを詰め込んだ頭でっかちな生徒をわざわざ集めたいと思うだろうか。知識量よりも、思考力や好奇心やポテンシャルを持っている生徒を集めたいと思うはずだ。しかも学校の教育理念に合う生徒を見極めたい。そのために各校は毎年趣向を凝らした入試問題を作るのである。

今年も各学校でユニークな問題が出された。中には大学入試改革を先取りしていると思えるような良問も多い。各校がどんな問題を出しているのかはネットで検索すれば各塾の解説がすぐに見つかる。特に難関校ほど単純な計算問題や知識量を問う問題は出題しない。つまり単なる知識の詰め込みでは太刀打ちできないようにできているのだ。だからサピックスのような授業で鍛えられた生徒が力を発揮するのである。

中学受験を終えてもすぐに「次」が始まる

しかし中学入試が終わっても受験生たちの塾通いが終わるわけではない。人気進学校の合格者には、すぐに「合格おめでとう!次は東大だ!」というような文言の書かれたパンフレットが手渡される。大学受験塾の広告だ。6年後に向けての戦いがすでに幕を切っているのである。

特に難関である東大理Ⅲ(医学部)合格実績における圧倒的強さで知られるのが中高一貫校生用の大学受験塾「鉄緑会」。2015年度の東大理Ⅲ合格者約100名のうち、なんと62名が鉄緑会出身者で占められている。

「何とか東大に滑り込む」のではなく、「東大入試から逆算した6年間のカリキュラムで、効率的に東大合格に必要な学力を身につけ、そのうえで読書なり、クラブ活動なり、受験の領域を超えた学習なりに取り組み、将来への素地を養う」が鉄緑会の指導スタンス。中学受験を終えたばかりの秀才たちが、中学に入学する前の春期講習から通う様子を拙著『ルポ 塾歴社会』(幻冬舎)では描いている。

『ルポ塾歴社会』(おおたとしまさ著、幻冬舎より1月29日刊、税別800円) 出身者の体験談や元講師の証言を元に、学歴社会ならぬ「塾歴社会」がもたらす、その光と闇を詳らかにする。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

その成果として、開成、筑駒、桜蔭といった学校であっても3割程度と言われている東大現役合格率に関して、鉄緑会ではそれを圧倒的に上回る実績を残している。この数年合格実績は右肩上がり。この調子でいけば今年もさらに圧倒的な実績を残すのではないかと推測できる。

カリキュラムや教材、講師の質には、どこの塾でも自負がある。鉄緑会のそれもやはりよくできているとは、他塾の講師も認めるところだ。しかし今、鉄緑会がここまで圧倒的な地位を築いているのは、それだけでは説明できない「作用」が働いているからだと私は考えている。

その「作用」については、2016年度の東大合格者数が明らかになってきたころに、改めてこのサイトに寄稿したい。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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