ヒット車連発のマツダ、「外部要因」に不安 2015年の国内販売は、8社の中で唯一の増加
快進撃を続けてきたマツダに急ブレーキがかかった。中間決算(2015年4~9月)では、営業利益は前年比21%増と好調だったが、直近の第3四半期のみ(10~12月)で比較すると、前年同期比1%の営業減益で着地。一体、何が起こったのか。
収益の伸びが鈍化した理由の1つ目は為替影響だ。第3四半期のみでは、販売増やコスト改善で330億円の利益押し上げ効果があったものの、為替影響が160億円の押し下げ要因になった。ユーロが42億円、豪ドルが66億円、カナダドルが26億円それぞれマイナスで、米ドルの22億円のプラスを完全に帳消しにした。資源国の通貨安が響いた形だ。
マツダの海外販売は全体の約85%(2015年度見通し)を占める。近年は為替耐性をつけるために、メキシコやタイに生産拠点を作り、海外生産を増やしてきた。しかし、2015年の海外生産比率は37%で、依然として日本からの輸出が多い。輸出を続ける欧州や豪州が今期は為替レート悪化の影響を受けている。
為替次第でさらに収益下押しの懸念
豪州の販売は第3四半期累計で前期比18%増の8.6万台と過去最高を更新。シェアは1割弱とトヨタに次ぐ2位で、マツダが存在感を増す市場だ。ところが、円に対して豪ドルは3年振りの安値圏まで下落。豪州向けは日本に加え、タイで生産した車を販売しているが、タイバーツ高も重なった。その結果、好調な販売にもかかわらず、為替で収益を圧迫されるという悩ましい状態になっているのだ。
「第4四半期の為替は本音で言って、どちらに行くか分からない」と財務担当の藤本哲也執行役員は苦渋の表情を浮かべる。下半期(2015年10月~2016年3月)の為替想定は米ドルが120円、ユーロが135円と中間決算時点から変更していない。「第4四半期の為替が足元のレベルである1米ドル119円、1ユーロ131円、1豪ドル85円で推移した場合、営業利益で30~40億円の悪化要因となる」(藤本執行役員)見込みでリスクを抱える。
収益悪化の2つ目の理由はタカタ製エアバッグのリコール(回収・無償修理)に伴う費用だ。マツダは今回の決算で初めて引当額を明らかにした。第3四半期累計で280万台以上に対して約110億円を引き当てたという。リコール費用は、原因究明後にタカタと自動車メーカーとの間で費用分担の割合が決まれば「戻り益」が入る可能性はある。だが、ひとまずは自動車メーカーが自社費用として計上している。タカタ製エアバッグは追加リコールが相次いでおり、今後も追加リコールに伴う引当金の積み増しが生じる懸念がある。
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