児童虐待、なぜ「再三の通報」が生きないのか どうすれば悲劇の連鎖を止められる?
幼児虐待事件が相次いで発覚している。埼玉県狭山市の3歳女児が、やけどを負ったのに放置され、死亡が確認された事件で、埼玉県警は1月末に、女児の母親と同居する内縁の夫を「保護責任者遺棄罪」と「暴行罪」の容疑で逮捕した。
この事件をめぐり、市や県警、児童相談所などの対応に不備はなかったのかと疑問の声があがっている。女児が死亡する前に、近隣住民からの110番通報が2回あったと報じられたからだ。
市職員が3回自宅を訪問していたが
2015年6月には、家の外でブランケットにくるまって泣き続ける女児を目撃した近隣住人から通報があった。翌7月にも「30分前から室内で女の子が泣き続けている」との通報があったという。
2回とも狭山警察署員が現場に駆けつけている。しかし、女児の体にあざなどの暴行を受けた形跡や、着衣の乱れなど虐待を疑わせる様子がなかったことから、両容疑者への注意・指導で終わり、県の児童相談所には連絡しなかったとされる。
また、その前の2013年4月~2015年5月には、乳幼児健診が未受診だったことから、狭山市職員が3回自宅を訪問していたが、虐待のサインは確認できず、養育状況は問題なしと判断していた。
今回のようなケースでは、関係機関がどのように動いていたら、女児を救うことができたのか。児童虐待の問題に詳しい榎本清弁護士に聞いた。