「横浜スタジアム」は、どう変わっていくのか 球団・スタジアム「一体運営」の狙いとは?

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――横浜財界の有志でドーム建設を推進する動きもあるようですね。建設候補地のマリノスタウン跡地はJR横浜駅東口から徒歩で15分、みなとみらい線新高島駅から5分くらいのアクセスです。ドーム構想は、ベイスターズの本拠地として使用されることが前提になると思いますが、今回70億円も投じて横浜スタジアムの運営権を手にしたということは、ドームをベイスターズの本拠地として使用するつもりはない、ということでしょうか。

正直、われわれはドーム構想には関与していないので、わからないとしか言いようがありません。その一方で、お向かいの横浜市役所が2020年にみなとみらい地区に転居し、この街から6000人がいなくなることは決定しています。

もちろんわれわれに市役所移転後の街づくりをすべて主導出来るような力はありませんが、今、自分たちが野球をしているスタジアムは確実に存在しているわけであり、そのスタジアムの課題を自分たちの手で解決していくことが、目の前にある現実的な課題です。それと平行して、この関内という街のことを、プロ野球がある街として、主体的に「街づくり」に参画していくのは当然のことだと私は思っています。そのための一体運営です。

今後の改善ポイントは?

――DeNAが球団を買収した際、それまでチケット収入の25%だった賃料を、13%に引き下げる交渉をしたため、球場収入はいったん大きく減りましたが、観客動員数の伸びに比例して大きく伸びている。飲食収入の伸びもすごいですね。

飲食はまだまだ改善しなければいけないと思っています。昨シーズンは球団オリジナルのビールを作り、それがよく売れたのですが、2回終了時点でお弁当が品切れになっていたり、外野はコンコースのスペースがなくて、これ以上ショップを広げるのは難しい。現状にとらわれることなく、広義にスタジアムのある横浜公園全体をボールパークととらえて、何らかの施策を考えることが必要です。スタジアム内にはスタジアムの直営店舗もありますから、これの活用方法も考えなくてはならない。スタジアム内の施設の多くの場所を、抜本的に見直す必要があると思っています。

――最後に抱負を。

今年は勝ちます。選手が成熟してきて、成績に応じて報酬で報いるということも不可欠になります。球団におカネがないがために、せっかく育った選手を手放すなどということがあっては、過去の繰り返しになります。

そうならないためにも安定的な経営基盤を築き、球団の未来とそこへの道筋を作るのが、私の経営者としての目標ですから、横浜スタジアムの買収で現実的な道筋は作れました。あとはどうしても今年は勝ちたい。今年勝てないでいつ勝つのだと心から思っています。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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