「横浜スタジアム」は、どう変わっていくのか 球団・スタジアム「一体運営」の狙いとは?

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――買い取り価格が安すぎるという声も一部の株主からは出ていたようですね。確かにこの会社、ものすごいおカネ持ちです。金融資産が売上高の3.5倍の130億円近くあり、有価証券も大半が国債など換金性が高いもののようです。それなのに設備投資はDeNAが球団を買収するまでは、年間2億~3億円しかやっていない。だからこれだけの金融資産が貯まったのでしょう。上場会社なら真っ先にアクティビストの標的になる会社です。このため、帳簿上の一株あたりの解散価値は2000円を超えていますが、買付価格は1500円でした。

そういう指摘があったことは確かですが、実際に運営をやめて解散するとなったらスタジアムを壊す費用だけで数十億円はかかります。数十年の間、この会社はあまり積極的に設備投資はしてこなかったようですが、われわれが球団経営を始めた2012年から2015年の間の改修だけで15億円以上かかっています。今後、必要な設備投資をやっていくにはそれなりのおカネがかかりますから、1500円という金額は妥当だと思っています。

老朽化にどう対応するか

――築後40年近く経過しており、老朽化の問題や耐震性の問題もある。設備投資についての青写真はもう描いていますか。

こうすれば最高だという夢とビジョンはあるのですが、実際のところはまったく白紙です。これから一つひとつ調べていくという段階です。耐震補強をすればまだ使えるのかどうかとか、観客席を増やせるのかどうか、増やせるとしたらどういう方法があるのかとか、緊急性が高いのは何なのか、などなど、ロードマップを描くのに1年くらいはかかるのではないかと思っています。

――2012年に都市公園法が改正されて、建ぺい率が緩和されたという話も聞きますが。

まだ実際に改正法を適用した事例自体、非常に数が少ないらしく、そういった勉強もして、横浜市などと協議していかなければならないでしょう。

――45年の使用期限が切れる7年後、この球場はどうなるのでしょうか。

それもこれから解決していかなければならない重要な課題です。何しろ横浜市との契約書には、45年間使える、45年間壊さない、ということが書いてあるだけです。45年が過ぎたらどうするのかについては具体的な記載がありません。この場所を使ってきた、そしてこれからも使っていくわれわれ自身が、主体性をもって解決していかなければならない最大の課題だと思っています。

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