ココナッツオイルブームはここから始まった 見習いたい、ママ起業家の鋭い嗅覚と根性
もうひとつ、幼児のママが生み出したヒット商品がある。世界初の自転車チャイルドシート用防寒マフ「BIKET KIDS」だ。数々の女性誌で取り上げられ、品薄の状況が続いている。人気モデルのブログにもたびたび登場し、いまやおしゃれママの冬の必需品だ。このヒット商品を生み出したのが、現在5歳の女の子を育てる上野麻紀子さん(36)だ。
きっかけは子どもの言葉だった。保育園の行き帰りに自転車のチャイルドシートに乗った娘が「寒いよ」と訴える。自転車をこぐ母親は体が温まるが、後ろに乗っている子どもは寒風に当てられ凍えていたのだ。ベビーカーの防寒マフはあるが、自転車のチャイルドシートに使う防寒マフはいくら探してもない。上野さんは「これだ」とひらめいた。
もともと被服系の学校を出ていた上野さん。ベビーカーの防寒マフをアレンジして、自転車のチャイルドシート用の防寒マフを自作。そのサンプルを手に縫製工場を訪ね歩いた。生産のメドが立ったら、今度は売り先だ。こうした商品にはブランディングが重要だと考えたのは、ファッション誌の編集者をしていたときに培った勘からだ。自ら開設したネットショップでの直販を柱に、卸先を絞りに絞った。おしゃれなママが集う代官山の高級自転車ショップ、海外ブランドを中心に扱うマタニティファッションのセレクトショップなど、取扱店舗を限定し希少性を高めたのだ。
上野さんの戦略は奏功。人気のママモデルが商品を使用している写真がブログにアップされたことから火が付き、問い合わせが殺到した。販売を始めてから3年。いまや入荷すると即完売という状況が続くヒット商品となっている。
「本気度高い」ママ起業家が増えている
商売に対する鋭い嗅覚を持ち、勝負時を逃がさずチャンスを手にしてきた2人のママ起業家。女性の起業に詳しい中小企業診断士の大江栄さんは、「家計に響かない程度で起業をと考えるママ起業家もいるが、最近は銀行からの融資も引き出す、本気度の高いママ起業家が全国的に増えている」と話す。
生き残り率わずか6%ともささやかれる起業の世界。女性の視点を生かせば成功できるほど簡単なものはない。2年ほど前に話題を集めた「プチ起業」は収束に向かっているのかもしれないが、小さくても本気で事業に取り組む起業家は確実に増えている。次のヒットを生み出すのは、あなたの隣のママかもしれない。
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