ココナッツオイルブームはここから始まった 見習いたい、ママ起業家の鋭い嗅覚と根性

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ベビーカーを押しながら営業に回り、新しいクッキーの販路をどんどん拡大していった。売り上げは順調に増えていたが、ここで荻野さんの嗅覚は別の方向に反応した。クッキーの材料として使っていたココナッツオイルそのものが「宝」に見えたのだ。「海外ではやっている、健康にいい、味もいい。この3つがそろってヒットしないわけがない。この食材を日本中の食卓に広めたいと思いました」(荻野さん)。

米国から輸入したのでは価格が高すぎる。クオリティには妥協できない。単身で生産地である東南アジアに出向き、納得できる仕入れ先に出会えるまでいくつもの生産者を訪ねた。ようやく見つけたパートナーはタイの工場。その後も頻繁に足を運び、ようやくできあがった商品が現在の看板商品「有機エキストラバージンココナッツオイル」だ。

食品展示会に一世一代の勝負をかけた

幕張メッセで毎年開催される「FOODEX JAPAN(国際食品・飲料展)」は、大手百貨店や小売業者のバイヤーが集う食品業界の一大イベントだ。2013年、荻野さんはこのイベントに勝負をかけることにした。「ここで人だかりを作れたら必ずココナッツオイルはヒットする」と読んだのだ。商品だけ並べても食べ方、使い方がわからない。とにかく試食をしてもらうことを目標にした。限られた資金ながらもブースの装飾にはこだわった。たまたま町で目を奪われた、あるショップのディスプレイを交渉して譲ってもらい、自分でアレンジを加えた。

荻野さんの読みは的中。ブースは大盛況となった。商談希望の名刺の山が積み重なり、三越伊勢丹や成城石井など大手との取引が次々と決まっていった。会社は急成長。たったひとりで始めたブラウンシュガーファーストは、いまや社員15人を抱える会社になった。

「子どもが小さいからとか、○○だからと壁を作ってはもったいない」と荻野さん。荻野さんがクッキーの販売を思い立ったのは、娘が生後4カ月の頃だ。始まりは港区青山で開催されるファーマーズマーケットの小さな店。そこで毎月子どもを背負いながらクッキーを売っていた。販路拡大の営業にはベビーカーを押して。子どもを保育園に預けるようになってからは、限られた時間を有効に使うため、折り畳んで電車に乗れるキックボードで駆け回ったという。「制約があってもできることはいくらでもあるのです」という言葉には説得力がある。

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