「米国株は割高だが欧州株や日本株は割安だ」 運用会社ロベコの最高投資責任者に聞く

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Hans Rademaker /ロベコ・グループ最高投資責任者。豪ティルブルフ大学経済学部卒業。1987年にオランダの金融機関Van Lanschot Bankiersでキャリアをスタート。オランダの資産運用会社Mn Servicesで最高投資責任者。英国に拠点を置くケンペン・キャピタル・マネジメントでフィデューシャリー・マネジメントのディレクターを務める。2010年にロベコ入社、取締役に就任。グループのロッテルダム、パリ、ボストン、ニューヨーク、香港支店の投資活動全般を統括している

ただ、新興国はかなり厳しい。新興国特有のリスクがある。原油価格は1バレル=20ドルまで下がる可能性があるとみている。イランは経済制裁が解除され、サウジアラビアも高水準の生産を続けている。一方、需要は中国をはじめ、経済が減速しているため伸びない。需給はアンバランスだ。

――過去の歴史を振り返ると、新興国発の金融危機は何度も起きています。今回はそうならないのでしょうか。

1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア危機のようなことにはならないだろう。問題に直面しているとはいえ、中国はかなりの外貨準備を抱えており、問題に対応できるだけの備えはある。また、アジア危機から教訓も得ている。

当時は不動産投資のレバレッジがかなり高く、しかもドル建てでローンを組んでいた。しかし、今それは是正されてきている。

ただ、新興国の中でも経済構造が脆弱な、コモディティに依存する経済では緊張感がある。

ブラジルは新興国の中で最もリスクが大きい

とくにBRICsの一角であるブラジルの見通しはかなり厳しい。リスクが大きく、今回のダークホースではないか。今後ブラジルがどのように景気後退から脱出できるのか。どういう形でほかの新興国に影響を与えるのか。これが最も大きなリスクだと思う。

コップに水が半分入っているときに、半分空だとみるか、半分入っているとみるか、だ。新興国の中でもインドは明るい兆しがある。インドは石油輸入国であり、原油安の恩恵を享受している。

また、先進国も原油価格が安くなると恩恵を受けるところが多い。そのデフレ効果は実際に支出を節約できた分をほかの消費にまわす形で、購買意欲を押し上げている。

――ブラジル以外に要警戒の国はありますか。

原油価格がこれだけ下がると、中東でソブリン・ウェルス・ファンドを運用してきた国は、財政赤字の穴埋めに資産を売却する必要が出てくる。何十億ドルもの株式やハイイールドを含めた債券を買ってきたので、それを売るとなると、新たな買い手を見つけなければならない。

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