「米国株は割高だが欧州株や日本株は割安だ」 運用会社ロベコの最高投資責任者に聞く

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外国人投資家はアベノミクスを賞味期限切れと見ているのか(撮影:尾形文繁)

米国株は割高だが、欧州株や日本株は割安

――米国企業は現在、どんな状況でしょうか。

歴史的にも利益幅が高い水準になっており、このレベルを持続するのは難しい。利益の一部を吐き出し、賃金の引き上げにまわすことが必要になってくる。賃金が上昇すればコスト増になるので、収益幅が減少することはやむをえない。米国株式はかなり割高な水準なのでアンダーウェイトにしている。欧州株、日本株は割安だ。新興国も割安だが、さらに一段と安くなることが考えられるので、現段階ではアンダーウェイトを続けている。

米国は利上げ局面に入ったとはいっても、FRBは以前買い取った資産を放出しておらず、流動性を供給した状況が継続している。その中で株式のリスクプレミアムをみると、5~6%あり、歴史的にも高い水準だ。ドイツ国債の金利が0.6%程度ということを考えると、株式のリスクプレミアムとしては十分な投資の魅力がある。

――それにしても日本株は売られています。アベノミクスがスタートした当時と比べると、外国人投資家は日本にすっかり無関心になったようです。

たしかにそういう側面はある。アベノミクスに対する見方もここへきて調整期にきているかな、と思う。当初は期待感によって押し上げられたことはあると思うが、今はそのフィージビリティ(実行可能性)、労働市場の改革を含めて、第三の矢が経済社会にどんな影響を与えられるのか、様子をみているということではないか。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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