「褒めて育てる」でダメになった日本の若者 エセ欧米流が子どもの生命力を歪めた

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──褒めに対する嗅覚も鋭い。

褒められ続けると、その状態を維持しなければいけなくなってくる。難しい課題にチャレンジしたら失敗するかもしれない。褒められ続けるポジションから落ちたくないから、確実に褒められる得意な課題に限って取り組み、難しい課題は初めから避けるようになってしまう。

失敗で鍛えられてこそ自己肯定感は養われる

『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書 720円+税/201ページ)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

──失敗経験は大事なはずです。

その結果、難題にチャレンジして本人が鍛えられるということがなくなる。一方、褒められてばかりだと、しかられなくても注意されただけで自分が全否定されたように受け取って、怒り出したり落ち込んだりする気質になってしまう。小さな頃から大小の壁にぶつかっていれば、どう乗り越えるかの経験もあって、挫折に強い人間になっていける。

──失敗は糧になる?

しかられたり注意されたりすることで自分のどこがまずかったのか、いわば失敗を糧にすることができる。それを修正することで人は成長してきたはず。ところが、今の多くの親たちは価値観をなくした戦後の人たちに育てられたから、軸がないまま子育てし、子どもに対して壁にも、鑑にもなれない。子どもは子どもで、何でも褒められ肯定されるので、未熟なまま、頑張らないままできてしまっている。

──もともと褒めて育てるのは自己肯定感を養うためでは。

自分の力で壁を乗り越えていくことを経験して初めて自己肯定感は高まる。頑張ってもいないのにただ褒められていい気持ちになっていたのでは、本当の自己肯定感は育たない。ただおだてられて育てられてきたから、がつんとやられたらぽしゃんとなる。だから自己肯定感は低い。

現実に大学でも会社でもちょっと注意すると傷つく若者が増えていて、うっかり注意できない時代になってしまった。がつんとやられても、自己肯定感が強かったら自分に自信があるから簡単には潰れない。

本当の自信をつけさせるには、子どもを信じて鍛える体当たりの子育てから始めるべきではないか。特に幼少期には、たとえば歩き始めたとき、当然親は褒める。厳しい壁を作りつつ、褒めるときは褒める、でいいのではないか。何でも褒めてしからない子育てではダメだ。何かの折に褒めることは当然ある。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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