日本株を買うなら1万6000円まで下げてから 円高は1ドル102円まで進む可能性がある
筆者は基本的にこのような短期取引はしないのだが、一定の戻りが想定されるとの見立てから取引した。株価下落の見通しは変えておらず、戻りを待って再度売りポジションを持ちたいと考えている。円高基調が変わる兆しはなく、むしろこれから本格化するだろう。その結果、日本の輸出企業を中心に円高のデメリットが業績悪化につながり、これが一株当たり利益を押し下げることになる。
来期の日経平均株価採用銘柄の一株当たり利益が1200円程度に押し下げられ、PER(株価収益率)13倍まで売られるようであれば、一時的に1万5500円程度まで急落するかもしれない。しかし、これ以下の水準は、企業業績がよほど大きく下ブレしない限り、割安圏となるだろう。その意味でも、本格的に日本株を買うには、できれば日経平均株価が1万6000円まで下げるのを待ちたい。「痛手を被らないほど十分に下げた水準」だからだ。
もっとも、ドル円は最大102円まで円高が進む可能性があるとみている。アベノミクス相場が始まって以来の日経平均株価とドル円相場の相関から推計される、ドル円102円の場合の日経平均株価の水準は1万4500円。最大でこの水準までの下げはやはり見ておく必要がある。
年前半は「ドル安、株高、コモディティ高」
一方、株式市場で悪者扱いされているのが原油である。WTI原油先物が12日の海外時間でとうとう30ドルの大台を割り込んだ。OPECの減産見送り、米国シェールオイルの増産、中国景気の鈍化を背景とした需給減退懸念など、需給面では売り材料に事欠かない状況にある。
しかし、原油相場の下落の本質的な理由は、ロング筋がポジションを維持していることである。彼らが投げずに我慢しているうちは、これが重しとなり、戻りは限定的にならざるをえない。つまり、アク抜けしないのである。彼らが投げて、高値で構築されたロングポジションが解消されて、初めて相場は上昇しやすくなる。
12日の30ドル割れで投げが加速し、底値が形成されたとすれば、反発の可能性も出てくる。筆者はその可能性はかなり高いのではないかと考え、12日にWTI原油先物を買ってみた。安値を更新するようであれば手仕舞うが、少なくとも33ドル台半ばまでは様子を見たいと考えている。
一方、原油相場が反発すれば、原油安の恩恵を受けてきた企業のコストは急激に上昇する。原油反発は株式市場にとっては決して喜ばしい材料ではない。この点を間違えると、高値で株式を買うことになる。原油を中心にコモディティが上昇すれば、これが今度はドルを押し下げる可能性がある。まさに「ドル安、株安、コモディティ高」の構図である。年前半はこの構図を念頭に入れた上で市場動向を見るのがとよい。基調の方向が変わるには時間がかかる。少なくとも3月半ばまでは、基本戦略を変える必要はないと考えている。
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