続いて、近年増加中の男性の育児休業取得者を見ていこう。育休を取得した男性社員が1人以上いる会社は348社、10人以上は84社だった。個別では11位ソニー569人(男女全体657人)、13位マツダ327人(同641人)、15位パナソニック304人(同559人)などが多い。いずれも男性取得者が女性取得者を上回っている。ただ、1週間以内もソニー362人、マツダ321人と多く、いずれも短期取得が中心だ。
女性は出産後8週間の産後休暇が義務づけられているが、男性は出産後すぐに育児休業を取得できる。男性の取得は妻の出産後に数日から1週間以内といった短期型が多く、実態はお手伝い程度といったところか。
しかし、いまだに男性社員が取得しようとすると嫌がる上司も少なくないという。今回の集計でも半数を超える467社は取得者ゼロだ。そうした会社に比べれば男性が取得することへの拒否反応はなさそう。今後長期の取得者が増えていく可能性も高そうだ。
回答企業の開示姿勢には課題も
今回の東洋経済CSR調査の新規項目「育児休業取得率」では男女全体・男性の取得率を聞いたが開示率は低かった。育児休業の実態を判断するためには、規模の違いがわかる取得率は必須情報だ。しかし、「男性の取得可能者を把握していないため全体の取得率は開示できない」という回答が目立った。中には「男性取得に積極的に取り組む」と別の項目で宣言している会社もあった。
従業員に子が生まれた場合、会社は当然把握しているはず。育児休業取得可能者の把握は育児休業取得を推進するための第一歩だ。ここがおろそかになると男性取得増加は難しい。こうした回答の矛盾から取り組みの本気度がよくわかる。
男性の育児休業取得は「パパの育児貢献」を示す指標として使われるケースが多いが、子育ては生まれた直後だけではない。共働きであれば、お父さんが平日の夕方に保育園に定期的に迎えに行く、子供が熱を出した際にときには会社を早退して帰る、といったことも重要だ。こうしたかかわりをデータで見られるようにすることも今後の課題といえる。
今回は日本を代表する大手ばかりを紹介した。確かに規模が大きくないとできないことも多いが、うまくいくとわかった制度や取り組みは行政などがバックアップし、中小企業でも導入できるようにするといったやり方もある。
大企業の先進的な取り組みはもちろん自社のためであるが、トップランナーとして日本全体から注目されていることも忘れてはならない。各社独自の取り組みを次の段階に進め、多くの日本企業が目標とするような存在になってほしい。
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