和服を否定?アカデミーヒルズの対応に波紋 履物の「一律禁止規約」を設けているワケ
一方、アカデミーヒルズの担当者は、利用規約で「雪駄の着用」を禁止していることについて、「(ライブラリーは)キャリアアップの勉強や、ワーキングスペースとして利用され、メンバーの方は、静かな空間を求めていらっしゃる」と説明。「バックストラップがない履物は、今まででいちばん、音が気になるという声がメンバーからあったため、規約をもうけた」と話している。
アカデミーヒルズが運営する会員制ライブラリーは、六本木ヒルズの49階にある。1人での仕事や勉強に適した静かなワーキングスペースのほか、大きな書棚が並ぶ図書スペースやくつろいで飲食できるカフェスペースが用意されている。
施設の規約をみると、ライブラリー全体に適用されるドレスコードとして、「ビーチサンダル、ゴム草履、雪駄・下駄の着用はお断りしております」と定められている。つまり、ルール上は、カフェスペースを利用する場合でも、「雪駄」は着用できないことになる。
「和服を禁止することと同義」
この点について、男性はメール回答のなかで、次のように疑問を呈している。
「注意を受けたのは、音がしていたからではありません。規則で雪駄が禁止されていたからです。その時も音もしていなかったと思います。(アカデミーヒルズの対応は)非常に残念。
当該スペースは確かに図書館のような場所なので、利用者の妨げとなる音には留意する必要があるが、注意されたスペースは人と話をしたり、電話での会話、飲食も可能なスペース。なぜ和装の履物だけが禁止されているのか納得できない。なぜ同様に音のするミュールは規則で禁止されていないのか。これでは和の履物だけが差別されていると捉えられても仕方がないのではないか。
和装は草履や雪駄が正装であり、それを禁止することは和服を禁止することと同義だと捉えています。しかもこの施設は和の文化や伝統についてのイベントも行っている場所。その主催施設が和の正装履物を禁止するのは言っていることとやっていることが矛盾しているのではないか。
さらには、いつ会議にかけるという返答もなく、今のところ『規則は現行のまま』という対応には、取り付く島もないといった感じで、意見が尊重されている感じは受けなかったです」
一方、アカデミーヒルズはどのように考えているのだろうか。弁護士ドットコムニュースの記者はアカデミーヒルズに赴き、担当者に話を聞いた。
取材に応じたアカデミーヒルズの担当者は「メンバーが快適に利用するための規約ということで設定させてもらっている」と説明した。
「音の感覚は一人ひとり全然違う。われわれが、『あなたの歩き方はすばらしい、音がしない』と思っても、メンバーの方にとってはうるさいという可能性もある。そういう意味では、一元的に管理するしかないのかなと考えている」と語った。