「パンツ界のエルメス」は日本で生まれるか? 東大→マッキンゼー出身社長が抱く壮大な夢
「TOOT」は、知る人ぞ知る日本のメンズアンダーウェアブランド。カラー、デザインバリュエーションが豊富でファッション性が高いうえに、独自のフロント部分の立体裁断により、「誰がはいてもベスポジになる」と評判だ。今までは、都心の一部百貨店での販売を除きほとんど広報PRを行っていなかったため、ネット通販を中心に口コミでファンを獲得してきた。
そんなTOOTに今年4月、新社長が就任。一気に国内における知名度向上、および本格的な海外展開に乗り出している。
新社長は、東大からマッキンゼーを経て、レアジョブ、ライフネット生命の立ち上げ期を経験した枡野恵也さん。輝かしい経歴を誇る彼はなぜ、一般的にはまだ無名と言えるパンツメーカーの社長というキャリアを選んだのか。そして、今後のTOOTの勝算は――?
国内外でのポテンシャルの高さを実感
TOOTは2000年に創業。創業者は油絵画家だった。「日本にはおしゃれで機能的な男性向けのアンダーウェアがない!」と自らデザインし、国内の提携工場による少量生産からスタート。ネットで販売開始したところ、口コミで徐々に広がった。
このたび創業社長が、「そろそろ本職の油絵に本腰を入れたい」とファンドへの企業譲渡を決意。そのファンドから、マッキンゼー時代の同期経由で枡野さんに「新社長」の声が掛かったという。
「新社長の条件は、爆発力があって面白い発想ができる人。でも事業のことも十分に理解している。そして手掛ける商材はパンツ。……ファンドの担当者からこの条件を聞いた同期の頭には、すぐに僕の顔が浮かんだそうです(笑)」
ご覧のように、枡野さんはアシンメトリーな髪形にサルバドール・ダリのようなヒゲ、そして原色や柄オン柄、ユニセックスものも着こなす個性派(この日の服装は「パンツの色味を引き立たせるため」かなり地味め)だが、東大からマッキンゼーに進み、4年間経営コンサルタントとして活躍した後、オンライン英会話を手掛ける創業間もないレアジョブで法人向け事業の立ち上げを担い、その後ライフネット生命に転じて海外事業展開をけん引してきた人物。