知恵と熱意で集客する地方、国際映画祭、コミケ、ガンダムの直立像…《特集・日本人の旅》

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 4月28日から5カ月にわたって横浜市で開催される、横浜開港150周年記念イベント「開国博Y150」は今年最大のイベントだ。会場では巨大生物マシンが動き回り、地球を模した直径20メートルの気球に映像を映し出すナイトショーなどのアトラクションが目白押し。会場は出入り自由で、中華街など周辺の観光スポットで食事を取った後に、再入場することも可能。街中を回遊させる仕組みづくりは怠りない。

集客目標は500万人。「市内の認知度はずいぶん高まったが、全国的にはこれから」(横浜開港150周年協会の桑原寛誘致統括部長)。全体の約7割を市外から集めたい意向で、今後、旅行各社が関連商品を続々と投入する予定だ。

一方、東京・お台場では7月上旬に18メートルの等身大のガンダムが大地に立つ--。人気アニメ「機動戦士ガンダム」の放映開始30周年記念プロジェクトの一環として、頭部が稼働し、体の50カ所が発光する直立像が製作され、2カ月間無料公開される。熱狂的ファンも多いだけに、集客目標150万人は容易にクリアできそうだ。

最後に、来年の話題を一つ。東京ビッグサイトで年2回開催されるコミックマーケット(コミケ)は、わずか3日の会期で50万人以上を集客する世界最大のマンガ・アニメのイベント。来年3月には、5年に一度の「コミケットスペシャル」が「コミケでまちおこし」をテーマに水戸市でも開催される。

コミケ誘致の勝因は市街地空きビルの活用

地方開催の告知に全国21団体から開催希望の応募があったという。水戸サイドで誘致をしたのは水戸市役所の若手の政策研究グループのメンバー。「自分はコミケの常連ではないし、ダメもとで企画書を出した。まさか選ばれるとは」と、メンバーの一人で、過去にはオセロの世界選手権大会の誘致にもかかわった沼田誠氏は苦笑いする。ほかの団体が車でのアクセスに限られる郊外のコンベンションセンターなどを会場として提案したのに対して、水戸の提案は交通の便がよい市の中心地にある空きビル。コミケのついでに市内で食事や観光してもらえる。これが「町おこし」の理念にマッチした。

「あくまで町おこし。通常のコミケとは違うものを目指したい。10分の1くらいの規模でできれば」と、沼田氏は期待するが、首都圏からも近いとあって、さらに多くのファンが押し寄せる可能性もある。コミケの存在を知らない市民も多いだけに、いかに市全体を巻き込んだイベントにするかが頭の使いどころだ。

(週刊東洋経済)

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