業績急悪化の「パタゴニア」営業再開に慎重な訳 休業は早く、再開はどこより遅くの独自路線
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、アウトドアブランドのパタゴニアが北米の直営店39店舗と通販サイトを一時休止すると発表したのは3月13日。大手小売企業の中でも同社が取った対応は特に素早く、そして大胆だった。
パタゴニアのローズ・マーカリオ最高経営責任者(CEO)は当初、休止は続いても1カ月ぐらいと考えていたというが、コロナの「長期化」が明らかになるにつれ、「コロナ下でのビジネスがどうあるべきか、考える必要が出てきた」とインタビューで語った。
政府から外出禁止令が出る前にどこよりも積極的に休業に動いたパタゴニアだが、再開についても極めて慎重な姿勢を見せている。
アメリカ各州が経済再開に動き出す中、メイシーズや傘下にバナナ・リパブリックやオールドネイビーを抱えるギャップなどの小売各社はすでに何百という店舗の営業を再開し始めている。休業で失った売り上げを少しでも取り戻そうと躍起になっているのだ。
初冬まで待つ覚悟
だが、パタゴニアには早くても6月まで店舗内での販売を再開するつもりはない。必要とあれば、秋から初冬まで待つ心構えだ。同社は5月20日から10店舗でドライブスルーなど店舗外での商品受け渡し(カーブサイド・ピックアップ)を開始する予定だが、全店で営業を再開できる状況になったとしても、しばらくはカーブサイド・ピックアップでの営業に限定することも視野に入れている。
「営業再開の方法については慎重なアプローチをとる。(外出禁止の)州令(解除)に必ずしも従うとは限らない」とマーカリオ氏は言う。「それほど感染が広がっていない地域も確かにある。ただ、みんなが社会的距離をとるのをやめれば、感染が急増しないという保証はない」。
マーカリオ氏は今後「小売の形が変わっていく」と考えている。ネット通販に依存する人が増え、「実店舗の戻りには時間がかかる」というわけだ。