【産業天気図・精密機器】08年度は増益基調で「晴れ」続く。が、円高進行と北米景気後退で成長性鈍化は不可避

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北米景気の後退で2007年末、各企業でデジタルカメラや事務機など主力事業が想定以上の影響を受けた精密機器業界。だが、日本メーカーの国際競争力が強いこの業界では、当面増益基調に変化はなく08年度も「晴れ」が続くだろう。ただし、円安を追い風に各社が大幅増益を続けてきた「快晴」の時は終わりを告げつつある。
 年末のクリスマス商戦を直撃した北米の景気後退で、07年10月~12月期のコンパクトデジタルカメラの販売は各社の想定を下回った。需要減退によりメーカー在庫や流通在庫が膨らみ、価格競争も激化したため、全体的に想定よりは低調な結果に終わったようだ。特に07年7~9月期に年間出荷台数計画を上方修正したキヤノン<7751>やオリンパス<7733>は10月~12月期が終わると、一転、出荷台数計画の下方修正および計画未達を発表(キヤノンは9月中間期末時点の07年度コンパクト型出荷台数計画2180万台に対し、07年12月期実績2140万台と40万台の未達。オリンパスは同9月中間期末時点のコンパクト出荷台数計画1130万台に対し、10~12月末時点で1080万台と50万台の下方修正)する結果となった。
 カメラ映像機器工業会(CIPA)が1月末に発表した最新の見通しでは、08年の主要各社のデジタルカメラ(コンパクト、一眼合計)総出荷台数は前年比11.5%増(07年実績は27.1%成長)と依然二桁増の成長を続ける見込みだが、コンパクト型における市場の飽和懸念と合わせ、以前ほど楽観視できる状況ではなくなってきたことは確かだろう。
 コンシューマー製品と違い、景気動向の影響を比較的受けにくいとされる事務機も、富士フイルムホールディングス<4901>傘下の富士ゼロックスを除き、10~12月期の業績は想定を下回る会社が相次いだ。特にリコー<7752>は10~12月期の北米での業績が赤字となるショッキングな内容となった。しかし、北米での苦戦には米ゼロックスによる大手販売会社の買収など複数の要因がからんでおり、北米の景気後退のみに帰結せられるものではない。08年度を通じて各社の事務機事業がどう進展するか不透明さは残るが、設置済みのハードを基盤とする消耗品ビジネスである以上、業績の急変は考えにくい。事務機業界は08年も安定成長を基調として進展するだろう。
 輸出比率の高い精密業界にとって、08年度は円高の進行が業績の重しとなることが確実だ。12月期決算のキヤノンの08年度想定為替レートは1ドル107円(07年度実績117.5円)、1ユーロ157円(同161.4円)。対ドルだけで10円以上の円高となり、売上高で1690億円、営業利益で990億円のマイナスインパクトとなる。現在の為替レートを考えれば、さらなる円高水準での推移もありうるだろう。各社の利益成長がある程度鈍化してくることは避けがたい見込みだ。
【桑原 幸作記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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