シャープはどこで間違えたのか

栄光と挫折の10年

 

結論から言えば、“ソニー取り込み”は不発に終わった。ソニーは09年末、100億円を投じて堺工場の株7・04%を取得したが、その後、出資比率を上げることはなかった。今年になって、ソニーは堺工場の株をシャープに売却した。

ソニーの元役員は振り返る。「06年以前にシャープと液晶事業の合弁交渉をしていた。当時、片山さんを訪ねると、『どこの誰だ?』といった偉そうな態度でげんなりした」。自社工場を持たなかったソニーに対し、交渉はシャープ優位で進み、嫌気の差したソニーはサムスンと合弁会社を設立した。だが、思うようにパネルを調達できず、08年に堺工場への出資を決断する。

しかし提携後もシャープはソニーを大事にしなかったようだ。堺が稼働した直後の09年秋、国内ではエコポイント制度導入で液晶テレビが売れに売れた。そんな中、シャープはアクオス用のパネル生産を優先し、納入遅延をたびたび起こした。当然、ソニーは態度を硬化。ソニーのパネル購入量は大きく増えることがないまま、現在はほとんど取引がない。

「鴻海は、もともとソニーと関係が深い。シャープは3月の鴻海との提携でソニー向けの納入が再開できるのではともくろんでいた。だが、郭台銘董事長のトップ営業でも実現できていない」(関係者)。

東芝などほかの有力顧客に対しても、液晶パネルの需給が逼迫していたとき、シャープは納入遅延を起こした。需給が緩和されると顧客の多くはシャープの元を去った。堺工場の外販は年を追うごとに減少。12年3月期の堺工場の外販比率は約1割しかない。「堺工場を作った時点で、シャープはアクオスを捨ててでもパネルの外販に集中すべきだった」と、業界関係者は一様に指摘する。

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