崖っ縁!シャープ 資産の切り売りは避けられず 9月危機は回避できそうだが…
テレビ工場売却へ亀山第2は死守
シャープは7月に社内の少数メンバーを選抜し、「事業再建」「財務改善」「人員削減」の3チームを結成した。が、「これまでリストラなど経験したことがないため、具体策がまったく出てこない」(関係者)。8月第2週目の週末にプライスウォーターハウスクーパースなど2社にコンサルティングを依頼。ようやくいくつかの具体案が挙がってきた。
その一つ、海外のテレビ工場の売却は、鴻海との間で協議が進んでいる。3月の提携時から、鴻海はシャープに対し、南京工場(中国)とメキシコ工場の買収を打診していた。成長市場の中国と最大市場の米国の攻略に、50型以上の大型テレビの組立技術などに強みを持つシャープの工場が活用できると考えたからだ。売却資金を得られるうえ、合計3000人を削減できるため、シャープも乗り気だ。
堺工場の土地の証券化、オリンパス株をはじめとする保有株式の売却、市ヶ谷ビル(新宿)の売却なども、実現に向けて動き出している。
一方、コンサル側が検討対象として資産査定した複写機やエアコン、中小型液晶などの事業売却案については、シャープ首脳は「まったく検討していない」と強く否定している。
複写機事業は営業利益率2ケタの高収益事業。顧客を囲い込んでおり、中期的に安定収益が見込める。優良事業ゆえ、買い手探しは難しくないが、シャープとしても最も手放したくない事業の一つだ。
エアコン事業については、競合であるダイキン工業やパナソニックが「打診されていない」と口をそろえる。国内市場は縮小傾向で、売却するとしても高値はつかない。