崖っ縁!シャープ 資産の切り売りは避けられず 9月危機は回避できそうだが…
6月末でみずほコーポレート銀行(メインバンク)と三菱東京UFJ銀行(準メイン)の融資額は、それぞれ1700億円超に達した。8月に入ってからも両行は計660億円を融資。それでも9月末までのCP償還資金を賄うには到底足りず、追加融資の交渉が行われている。
もっとも、「銀行も無条件に融資を拡大し続けるわけにはいかない」(前述の金融関係者)。8月の融資からは従来までの無担保ではなく、有担保融資となっている。大規模な追加融資には、銀行を納得させるだけの実現性が高く、抜本的な再建計画“実抜計画”の提示が必須だ。
主力2行はつい最近まで、シャープ経営陣と一定の距離を保ちながら、“実抜計画”の提出を待っていた。だが、「一部の経営陣は当事者意識が低く、決断スピードも遅いため、いらだちを隠せなくなってきた」(関係者)。最大の懸念は、再建のカギを握る鴻海からの出資に不透明感が漂ってきたことにある。
シャープ株下落で出資条件見直し
去る3月27日、シャープは緊急会見を開き、EMS最大手、台湾の鴻海との資本業務提携を発表した。2013年3月末までに鴻海グループ4社へシャープが669億円の第三者割当増資を実施し、それとは別に鴻海の郭台銘董事長が個人でシャープの堺工場へ660億円を投じる、という内容だ。
本体への出資に関し、町田勝彦会長(当時)は郭董事長に「出資比率10%以下」、「鴻海1社ではなく、グループの複数社による分担出資」という2条件を要請した。
1社の出資だと鴻海は名実共にシャープの筆頭株主に躍り出る。だが鴻海グループ4社の出資ならば、筆頭株主は日本生命保険から変わらないで済む。
郭董事長は首をひねりながらも応じ、シャープは無事に、約1300億円の資金を調達できる運びとなった。7月には堺工場への660億円の出資が完了、あとは本体への669億円の出資を待つばかりだった。