1回勝って終わる人と「勝ち続ける」人の差 世界一プロ・ゲーマー梅原大吾の「仕事論」

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――1日1個の発見は、どうやって文章に残すんですか。

ひと言だけ、携帯にメモしています。たとえば「何々の技は何々で返せる」とか、そのレベル。または、疑問系。こういうふうに捉えるべきか?とか。

この習慣はプロになって5年目、30歳になったくらいから始めました。仕事として「義務感」が出てきたときに、モチベーションが保てなくなってきて、「今までと違うことをなにか試してみよう」と思って、やってみたらうまくいったという感じです。

毎日見返したりするわけじゃないんですけど、たまに2年前くらいの見ると、良いメモもあるけど「うわ、勘違いしてんな」と思うこともあって。でも、そういう勘違いも含めて、書いたものを見ると、なによりも自分で自分にさぼっていないという証拠になります。

続けていると、「あっ」と思いつくことの精度がだんだん上がってきていて。だんだん失敗の質も上がっていくんですね。効率よく失敗できるようになります。発見して→試してを繰り返していくうちに、最初にやっていたどうでもいい失敗というのをしなくなっていきます。

技術より、反射神経より「視点」

――梅原さんが言う「視点」というのは、戦略とか、大局観のようなものですか。

そうですね。ゲームでは、技術も反射神経もそんなに差が出ない。その中でどう勝たなきゃいけないかというと、あとは、「一見正しく見えることが正しくなくて、一見正しく見えないことが正しい」といった、他の人が発見できていないようなことを自分で発見して試していくしかないんです。

プレイ中に、周りから見ると「大ダメージくらっちゃった!」という場面でも、自分の視点からいくと「ここのダメージはどうでもいいんだ。あとから取り返せるポイントなんだ」というタイミングを独自でつかんでおく。もちろん、発見しても誰にも言わないですけど、それが自分でわかっていると、差がつけられます。

――その「視点」と関係するかもしれませんが、著作の中に、「目先の小さな勝ちにこだわって大きな勝ちを逃す」という話がありました。

1回の勝ちで終わる人って、ほとんどそうじゃないですか? 他の人を見ていて、「うわ、“小さい勝ち”にこだわったな」と思うことがよくあります。

僕は、結果が出ないときは「ためている期間」だと思っているんですね。

それを感じたのは18歳くらいのときです。18歳の時に新しいゲームをやったんですけど、すでにそれは何作か出ているゲームで、周りを僕が追いかけるかたちでした。

でも僕は、17歳で一度世界チャンピオンになっているから、「俺は別のゲームでも、こんなに早く強くなれるんだぞ!」と見せつけようとして、目先の勝ちだけを追い求めたんです。それで最初は勝てるようになったんですね。でも、その後が続かなかった。そういうやり方だと、長い目でみたときに本当のトップになれないということを身をもって経験しました。

それ以来、「一番になりたいのなら我慢しなければいけない期間というのが必要だ」と思うようになりました。

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