ギリシャ問題、実は「宗教」に起因していた! 「地政学」で経済ニュースがよくわかる

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同じ時期にヨーロッパの移民が海を渡って開拓した中南米の国々が、米国のような経済発展を遂げられなかったのはなぜでしょうか。米国と比べて資源も豊かなのに、なぜ……?

中南米に乗り込んでいったのは、スペイン人とポルトガル人。つまりカトリック教徒だったのです。

だから南欧諸国と同じように勤労に価値を見出せず、経済発展の面で後れをとったのです。このような歴史を見ていくと、宗教などの文化的背景が一国の経済にもたらす影響の大きさを実感できるでしょう。

ロシアが経済大国になれないのはなぜ?

文化的背景が国の経済に影響をもたらす例を、もうひとつ見てみましょう。ロシアです。

ロシアは、国土も広く、資源にも恵まれている。それなのに経済が弱く、世界を牽引するような大企業が生まれなかったのは、なぜでしょうか。

これもキリスト教が大いに関係しています。カトリックやプロテスタントなど、西ヨーロッパのキリスト教は、罪の意識が強い。「原罪」といって、「人間は生まれながらに罪を負っている。だから、その罪を清めないと神様に救ってもらえない」という教えです。

どうやってその原罪を清めるかというと、カトリックは教会に一生懸命寄付をすること、プロテスタントは勤勉に働くことが奨励されたのです。

ところがギリシャからロシアに広まった正教会(東方教会)は、もともと原罪の意識が希薄なのです。そういう意味で、「何かを一生懸命やらなければ」という切迫感が乏しい。だから、カトリックとは違う理由で、勤労意欲も希薄なのです。ロシアとギリシャが経済的に弱いのも、宗教的な背景から説明できるのです。

茂木 誠 駿台予備学校 世界史科講師

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もぎ まこと / Makoto Mogi

ノンフィクション作家、予備校講師、歴史系YouTuber。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当する。著書に、『経済は世界史から学べ!』(ダイヤモンド社)、『世界史で学べ!地政学』(祥伝社)、『超日本史』(KADOKAWA)、『米中激突の地政学』(WAC)、『テレビが伝えない国際ニュースの真相』(SB新書)、『政治思想マトリックス』(PHP研究所)、『「保守」って何?』(祥伝社)、『グローバリストの近現代史』(ビジネス社・共著)、『バトルマンガで歴史が超わかる本』(飛鳥新社)、『「リベラル」の正体』(WAC・共著)、『「戦争と平和」の世界史』(TAC出版)、『ジオ・ヒストリア』(笠間書院)など。

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