ギリシャ問題、実は「宗教」に起因していた!

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イギリスやフランスは、ギリシャを絶対にロシア側につけたくない。だから、ロシアの何倍もギリシャを支援して、なんとかギリシャを仲間として引き止めようと頑張るのです。

この状態は、ギリシャから見れば、実においしい話です。ロシアとイギリスという2つの親分が交互に助けてくれるのですから。だからこそ、ギリシャはあっさりとオスマン帝国から独立できましたし、独立後も財政的な援助までしてもらえました。

ギリシャは、オリーブと観光業くらいしか産業がなく、経済的には非常に遅れた貧しい国です。それでも、西側軍事同盟のNATOや、経済同盟のEUに加盟できたのは、「ギリシャがロシア側につかれたら困るから」という理由です。

なぜギリシャは財政危機に陥ったのか?

そもそも、なぜギリシャは財政危機に陥ってしまったのでしょうか。

ロシアと欧米からそれぞれ支援を受けてきたギリシャ国内には、親ロシア派と親欧米派がいて激しく対立してきました。

第二次大戦中、ドイツ軍に占領されたギリシャでは、親ロシア派である共産党が「ソ連と一緒に戦おう!」と叫べば、親欧米派は「米英と一緒に戦おう!」とやり返す。ドイツ軍が撤収すると、両者はすさまじい内戦を引き起こしたのです。

共産党を叩きつぶして誕生した軍事政権は、米国の支援を受けて20年ほど続きました。けれども独裁が行き過ぎた結果、国民の反発を招き、米国にも見捨てられて1970年代に民政移管を認めました。

その後はそれまでの反動から、親ソ派の社会主義政党(パソック)が議会で過半数を占めることになりました。日本社会党みたいな政党で、支持基盤である労働組合の要望をどんどん吸い上げていったのです。

賃上げを認め、有給休暇を増やし、退職の年齢を早め、年金を増額して……というように労働者を優遇すると同時に、支持者を国有企業の社員や国家公務員として優先的に採用しました。

その結果、国民の4分の1が公務員という異常事態に陥ってしまいました。

55歳で定年を迎え、あとは悠々自適に暮らす。ギリシャの労働者にとっては、天国のような待遇でしたが、そのツケが巨額の財政赤字として累積していったのです。

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