大量の「偽装日本人」が、安全保障を揺るがす 増加の一途をたどる「二重国籍」の根深い問題

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偽装日本人は、日本に不法滞在する外国人でありながら、日本の主権者であると偽って、日本の選挙にも不正投票している。そのほかスパイ活動も容易である。もちろん、これらは旅券法違反・入管法違反などの重罪である。しかし、ほとんどまったく摘発されていない。

もっとも、捜査機関がまったく見抜けないわけではない。偽装日本人は、日本の出入国審査において、出入国の履歴に連続性のない日本パスポートを使用していることが通常である。

すなわち偽装日本人は、日本の入国審査においては、日本人であると装うために日本パスポートを使用する。しかし、その直前の外国の空港からの出国の際には、外国パスポートを使用している。そのため、日本パスポートには出国印が押されていない。したがって、偽装日本人が所持するパスポートは、出国印と入国印が連続していない。

そのような者について、出入国履歴や在留履歴、海外にある日本国大使館が把握する情報を精査すれば、パスポート使用形態の変遷などから、法令違反の端緒を発見することもできるはずだ。

世界は二重国籍を容認する潮流にあるものの

それなのに国家の根幹をなす国籍法が無視され、違反が常態化しているのは、由々しき事態だ。海外の紛争地帯で取り残された者やアメリカの艦船に乗っている者が日本人であるかどうかは、集団的自衛権の行使などに際し重要な判断要素となるにもかかわらず、これだけ偽装日本人が多いと、日本政府が瞬時に正確な判断をできず、混乱することも予想される。

世界的には二重国籍を容認する潮流であるともいわれる。国籍の異なる両親から生まれた子が2つの国籍を持つことは、2つの言語、歴史、文化、生活習慣の中で成長する彼らにとって当然の帰結なのだから、二重国籍を容認すべきという意見は根強い。

だが、だからといって国家の根幹法規というべき国籍法が形骸化し、偽装日本人による日本パスポートの不正取得、不法入国、不正投票などが蔓延している状況を放置してよいわけがない。

国籍のあり方についての国民的議論、そしてそれを踏まえた国会での検討が早急になされることが、強く望まれる。

山脇 康嗣 弁護士

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やまわき こうじ / Koji Yamawaki

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。慶應義塾大学大学院法務研究科修了。入管法、技能実習法、国籍法、外国人労務管理などの外国人関連法制を専門とする。現在、日本弁護士連合会人権擁護委員会特別委嘱委員(法務省入国管理局との定期協議担当)を務める。著書に『〔新版〕詳説 入管法の実務』(新日本法規)、『入管法判例分析』(日本加除出版)、『技能実習法の実務』(日本加除出版)、『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規)、『外国人及び外国企業の税務の基礎』(共著、日本加除出版)がある。『闇金ウシジマくん』『新ナニワ金融道』『極悪がんぼ』『銀と金』「鉄道捜査官シリーズ」『びったれ!!!』「ゆとりですがなにか」など、映画やドラマの法律監修も多く手掛ける。

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