もう5、6年前のことですが、同世代の管理職ばかりで、飲み会の後のラーメンに行ったことがあります。メンバーたちと別れて管理職だけで集まっているので、話題はメンバーのこと。「メンバーからどんな悪口を言われるといちばん傷ついてしまうか」という話で盛り上がりました。
男女半々のメンツの中で、女性陣は、やや自覚があるのか、「感情的で気分屋、なんて言われているかもしれない」「とても冷静じゃないなって時もあるしねぇ」などと言っていましたが、最後は、「やっぱり、仕事ができない人だって言われてるとしたら、それがいちばんキツイよねぇ」となりました。
男性たちが言われていちばん嫌なのは……
ところが男性陣はまったく意見が違ったんです。その時のメンツの特徴もあるかもしれないですが、「ちっちゃい」と言われるのがいちばん辛いと全員が言いました。「人としての器」が小さいと感じてしまう出来事があると―――たとえば、自分の部署最優先な判断をしてしまったり、チームの仕事の成果を報告するときに自分の貢献をちらつかせてしまったり、自分でも「しまった」と後悔しているのに、それをメンバーたちに悟られているなと感じると、とてつもなく落ち込む、というのです。
「えー、かっこつけすぎてない?」「本当はほかの管理職の方が人気がある、とかそういうので凹むんでしょー?」と女性陣がからかいながら、掘り下げていくと、「ちっちゃい」は仕事だけでなく「人として」が絡んでくるわけで、実はいちばんイヤなのは、「ケチな人」と言われることだと白状したのです。
「ケチ」と言われると、仕事ができるできないの以前に、「上司としての器がない」と言われているようで、猛烈に傷つくと彼らはいいます。女性陣は「そんなに傷つく?」と思ってしまったキーワードでしたが、「オトコとして」みたいな気分もあるのかもしれないですねぇ、不思議なものです。
もちろん彼らの意見がすべてではありませんが、基本的には男性上司陣は「ばーんと払って」、人としてもオトコとしても株をあげたい気持ち満々だということなのです。女性管理職だった私も、年下の女性陣から「男前ですぅ~」などと持ちあげられると「なに言ってるのよ~」と言いながらも内心はすごく嬉しくなってしまったものでした。
8名くらいのスタッフと夜にレストランに出かけ、調子に乗って「ここは私が……」と受け取ったカード伝票の金額に動悸がしてきて、2駅分もとぼとぼ歩きながらひとり反省会をしたこともあります。正直に打ち明けると、見栄っ張りで「姐さん」となつかれると弱い私は、涼しい顔をしてばーんと払った後に、「ああ、欲しかったコートも買える金額だった……」「ひとり2000円だけでももらっとくべきだったか」とくよくよとせこいことさえ考えちゃう「器のちっちゃい」ヤツそのものなのです。
そこまで言うなら「気持ちよく払ってしまえば?」と思われるかもしれません。しかし、中間管理職はみなさんが思うほど多くのお給料をもらっていないことが多いのです。
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