北朝鮮経済、4年連続でプラス成長していた 経済制裁が効いていない?

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韓国銀行が推定する北朝鮮の経済成長率は、韓国の情報機関である国家情報院などが推定する北朝鮮の各産業における生産量データに、北朝鮮の物価ではなく、韓国の物価・付加価値率などを適応して算出、韓国ウォン基準の名目GNIを推定している。

したがって、これらの統計を見る際には「韓国のGDPデフレーターがかけられているので、統計としてゆがんでいる。統計数値そのものに意味はなく、あくまでも南北間の経済比較や北朝鮮経済のトレンドを分析する目的でのみ使われることが多い」(李教授)。

2011年以降続くプラス成長

これまでのこの統計を振り返っておこう。北朝鮮は1990年から9年連続でマイナス成長となったが、1999年からはプラス成長に転じている。ただ、2006、2007、2009年、2010年はマイナスだった。

つまり、韓国は、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が本格的に政権を担うようになってからはプラス成長と判断していることになる。

北朝鮮の経済成長は、中国との貿易増加が産業生産の拡大につながった結果とされており、中国が北朝鮮への経済制裁に加わらない限り、北朝鮮は経済成長を続ける可能性が高いと李教授は言う。

北朝鮮はかつて1950~60年代には積極的に経済統計を発表していたが、この数年は「米国との対立関係にあるため、国の実態がわかる統計を対外的に発表することはできない」(朝鮮社会科学院経済研究所)とし、発表していない。ただ、2013年に平壌で東洋経済の取材に応じた同研究所の李基成(リ・ギソン)教授は、「2011年の1人当たりGDP(国内総生産)は904ドル(約11万円)、2007〜2011年までの平均経済成長率は10%程度」と述べたことがある。

2010年以降、継続して訪朝しているある日本人ビジネスマンは「平壌だけを見ると、1%成長に留まっている感じはない。それこそ10%成長と言ってもおかしくはないほど、市民生活は向上している印象を受ける」と言う。

今回、韓国統計庁が発表した統計で、4年連続のプラス成長を発表したことは、これまでの経済制裁の有効性に疑問符をつけるものとも読み取れそうだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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