政権交代でも対仏投資の積極誘致は変わらない--アピア対仏投資庁長官に聞く
--つまり、政権交代してもこれまでの政策に変わりはないということですか。
そのとおりだ。できるだけ容易に直接投資を行ってもらえるよう努力している。フランスの強みは市場の規模、環境分野での新しい技術開発の可能性、生産性の高さ、質の高い労働力などといった点だ。日系企業のコミュニティも形成されており、これから進出する会社もアドバイスなどを受けられるだろう。
--「ユーロ危機」は海外企業の進出にとってブレーキとはならないのですか。
財政危機は昨年から深刻な状態が続いているが、それでも各国からの直接投資は順調に推移している。会計事務所のアーンストアンドヤングが最近出した調査報告によると、2010年、昨年と雇用創出を伴うEU(欧州連合)向けの直接投資が増加している。これはEU各国が魅力を維持していることの表れだ。
歴史的に見れば、EUはさまざまな障害を乗り越えて発展を遂げてきた。6月下旬のEU首脳会議では、オランド大統領が望んでいた1200億ユーロ規模の成長・雇用協定が採択された。資金はEU内のインフラ整備やイノベーションなどに振り向けられる。同会議では「銀行同盟」創設に向けても踏み出した。ESMが問題を抱える銀行に直接、資本注入する支援策でも合意。今回の会議について強調したいのは、EU加盟国の全員一致で意思決定がなされ、さまざまな問題が起きたときに解決策を見いだし、乗り越える能力があるのを再び示したことだ。「信頼に値するEUである」というメッセージと受け取ってもらいたい。